「冬至」をいけばな目線で捉えると、「兆し」の大切さを学ぶ機会になります

こんにちは、内藤正風です。

12月22日は「冬至」です。1年で1番昼間が短くなる日ですね。
古来より冬至に南瓜を食べると中風にならないと言われていたり、冬至にゆず湯に入ると1年間風邪をひかないと言われていたりしますので、それぞれのお宅の「冬至」の恒例行事がおありなんだろうなと思います。

「陰」と「陽」は相反するものではありません

冬至は1年の内で1番昼間が短い日、すなわち夜が1番長い日という事になりますので、1年のうちで1番「陰」の気が満ち溢れる日になります。(正確には北半球ですね)
そしてこの日を境にして「陽」の気が芽生え、どんどん大きくなっていくと考えられています。

ちなみに陰と陽のお話をさせて頂くと「陰」と「陽」を相反するものと捉えている方が多い事に気付くのですが、この捉え方からは正しい陰陽の考え方は出来なくなります。

ではどの様に捉えるのが良いかと言いますと、例えば天と地、太陽と月、男と女、親と子、明と暗、大と小、表と裏、上と下のように一対のものとして考えると正しく理解する事ができる様になります。

一対とはすなわちシーソーの様にバランスを取り合う関係です

「陰」と「陽」は一対でお互いにバランスを取り合って調和しているのです。
なので「陰」が強くなると気温が下がり寒くなり、「陽」が強くなると気温が上がり暑くなるという事なのです。

すなわち「陰」が強くなっている時に「陽」は無くなっているのではなく弱くなっているだけであり、「陽」が強くなっている時に「陰」は弱くなっているだけなのです。
したがって陰と陽の関係は、シーソーに乗ってお互いが上がったり下がったりしているのと同じなのです。

そんな陰と陽が、この冬至には「陰」が最大に大きくなって極まり、「陰」に満たされた中に「陽」の兆しが生まれて来るので、この事を「一陽来復(いちようらいふく)」と言うのです。

「陽」の気が生まれたといっても、まだまだ温かくはなりません

冬至には「陽」の兆し(きざし)が生まれるとはいいましたが、兆しというくらいですからこの「陽」はまだまだ小さな赤ちゃん状態です。
なのですぐに温かくはなりません。
ヤカンでお水を沸かすのと同じだと思ってください。

お水は零度の状態では凍っています。
この氷をヤカンに入れて火にかけても、すぐには温かくはならないですよね。
火にかけると氷が解けてきます。けれど溶けて水になっても冷たい水の状態です。
これがだんだんと温度が上がってきて、温かくなって沸きはじめると沸騰するまで早いですよね。

「兆し」がなければ物事は何も生まれない

地球に「陽」の気が芽生えたとはいえ、とても小さく、まだまだ「陰」の気が大勢を占めています。なのでこれからまだ気温は下がり続けます。
しかしその「陰」の気の中では、着実に「陽」の気が大きく育っていっているのです。

何事も最初は「兆し」から始まります。まだまだ見えない小さなもの、全く感じる事ができない小さなものこそが「兆し」なのです。
しかし小さいからと言って馬鹿にしてはいけません。それこそが全ての始まりなのですから。

この様にして考えると、私たちも「兆し」をどんどん作っていくことこそが、未来を生み出すことになるということです。
「一陽来復」とても素敵な言葉だと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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