いけばな的視点で「冬至」を見てみると、様々なものを感じることが出来るようになります
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
今日は「冬至」です。一年で一番昼間が短い日ですね。とはいえ、一年間で一番日が短いというと何か損をしたように気持ちになってしまいますから、カボチャを食べる日とか、ゆず湯に入る日というように言った方が楽しみな感じになっていいですかね。
ところで最近では、カボチャも ”カボチャパイ” や ”カボチャチップス” にして食べられる方も増えているようですね。
ちなみに私たちの世代の多くは ”冬至のカボチャ” って聞いたら、やっぱり下の写真のこれを思いつかれる方が多いでしょうけどね。(笑)
光風流では、冬至に梅を生けます。
冬至は一年の内で一番「陰」の気が満ち溢れる日で、この日を境にして「陽」の気が芽生え、どんどん大きくなっていくと考えられています。
少し前の私のブログでも書きましたが、「陰」と「陽」は、相反するものではなく一対のものです。例えば天と地、太陽と月、男と女、親と子、明と暗、大と小、表と裏、上と下のようなものです。つまり「陰」と「陽」は一対でお互いにバランスを取り合って調和している存在なのです。
そしてこの「陰と陽」の関係の中で、「陰」が最大に大きくなって極まり、「陰」に満たされた中に「陽」の兆しが生まれる事を「一陽来復(いちようらいふく)」と言います。
ちなみに光風流では冬至には梅を生ける伝承があります。
これは「梅」が寒さの厳しい中の新春に一番早く花が咲くので、その姿から「百花の魁(ひゃっかのさきがけ)」と呼ばれていることに基づき、一陽来復を体現している植物として冬至に「梅」を生けるのです。
「陽」の気が生まれたといっても、まだまだ温かくはなりません
ただ「陽」の気が生まれたといっても、まだまだ小さな赤ちゃん状態です。すぐに温かくはなりません。お水を沸かすのと同じだと思ってください。
お水は零度の状態では凍っています。この氷をお鍋に入れて火にかけても、すぐには温かくはならないですよね。
火にかけると氷が解けてきます。けれど溶けて水になっても冷たい水の状態のままです。これがだんだんと温度が上がってきて、温かくなって沸きはじめると今度は沸騰するまではあっという間ですよね。
地球では冬至を迎えて「陽」の気が芽生えたとはいえ、とても小さく、まだまだ「陰」の気が大勢を占めています。なのでこれからまだ気温は下がり続けます。しかしその「陰」の気の中では、着実に「陽」の気が大きく育っていっています。つまり今日から二か月ほどの間は、気温が上昇し温かくなるための準備期間になるのです。
冬至の「一陽来復」、とても素敵な言葉だと私は思います。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。