「菊」は仏様の花だと思っておられる方、それは大きな間違いです。今日9月9日は「菊を愛でる日」になります
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
今日9月9日は「重陽の節句」になります。この日について詳しくお知りになりたい方は、先日私が書いたブログ「9月9日には、お料理に菊を添えて食べ菊酒を飲む。こんな時間を過ごしてみてはいかがでしょう」をご覧いただければ幸いです。
さて、重陽の節気には「菊」を様々に用いるのですが、菊は仏様の花だから普段は使ってはいけないと思っておられる方が少なからずおられるように感じますので、今日はそんなことについてブログを書きたいと思います。
なぜ菊を仏前に供えるのか
「菊」をなぜ仏前に供えるのかと言うと、「菊」は花の中で一番格式高いものと古来より考えられているからです。なので、仏様に敬意を払い、お花の中で一番格式高い「菊」をお供えしているという事がその理由です。
決して不浄の物だからではありません。
と、ここまで申し上げても、「ほんまかぁ?」と感じられる方もあると思いますので、菊が一番格式高いと考えられている一番わかりやすい例をご紹介させて頂きたいと思います。
宮家にはそれぞれご紋があります。そのなかで天皇家のご紋は「菊」のご紋、正式には「十六八重表菊」がその紋章です。
天皇家のご紋になるくらいですから、格式高くおめでたいものと言う事は容易に想像していただく事が出来ると思います。
すなわち、お葬式や仏壇など仏前に菊をお供えするというのは、仏様をとても大切に考えると共に最高の敬意を表していますよという事に他ならないのです。
決して不浄にものだから仏様に菊をお供えしているわけではありません。
「菊」は古来より特別な存在として考えられています
先に書いた理由以外にも、菊が特別な存在として考えられている理由があります。それは、菊は古来より解熱、解毒、鎮痛、消炎薬の効果がある漢方として私達の身近な存在なのです。
スーパーやお魚屋さんでお刺身を買われたら、刺身のつまとして大根やワサビや菊が添えられていますよね。
あれは見た目が綺麗と言うだけではなく、殺菌作用が有るから添えられているのです。
大根役者っていう言葉がありますが、あれは食事の時に大根を食べると食あたりをしないって言うことから、「売れない役者」=「あたらない役者」ってことで呼ばれるようになったそうです。
他にも9月9日の重陽の節句にはお酒に菊を浮かべて「菊酒」として飲む風習があるように、古くから菊は食用にされたり薬として扱われてきているのです。
ということで、「菊」は仏さんの花だから、普段は生けてはいけないなんて思っている人、大きな間違いです。
菊は花の中で一番格式高くおめでたい存在であり、漢方としても役立つ存在なのです。是非覚えておいていただければ嬉しいです。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。