ひな祭りに「桃」を飾るのは、桃にはスーパーパワーが宿っているからなのをご存じですか

こんにちは、内藤正風です。

この間「もう2月や~」って言っていたと思っていたら、気づけば後半になりました。
はや~、日が過ぎるのはや~~。

そして2月も後半になればすぐに「ひな祭り」なので、ひな人形を出して飾られている方も多い事と思います。

そもそも「ひな祭り」とは

ひな祭りって”女の子の節句”という風に思っておられる方が多いと思いますが、歴史を紐解くと元々は全く違うものだったという事をご存じでしょうか。

ひな祭りにひな人形を飾る様になったのは、女の子の節句だからお人形に結びついたのではありません。
元々は、自分の家族や大切な人に災いが起こらない様に人の形をした人形(ひとがた)に厄災や穢れを移して穢れ払い(けがればらい)として行われていたのが、人形を飾るという行為に結びついたそもそもの始まりだと言われています。
なので今でも地域によっては「流し雛」とか「守り雛」と言う風習が残っていたりしています。

そしてこの考え方が江戸時代に入ってから、女の子の人形遊びとか節句とかと結びついて、ひな祭りとして全国に広まり定着したのが現在のひな祭りなのです。

ひな祭りには、なぜ桃を飾るのか

ところで3月3日のひな祭りには、なぜ桃を飾るかご存知ですか。
ひな祭りの事を「桃の節句」とも言います。これは元々は ”上巳” という五節句の中の1つとして、旧暦の3月3日の頃に桃が咲く事から、桃の節句と呼ばれるようになったものですが、実はもっと大きな意味が有るのです。
それは桃が「魔除け」として古来より考えられているからなのです。

桃には古くから邪気を祓う力があると考えられています。その実例が日本で一番古くは古事記の中に登場します。

日本を作った伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)って聞かれたことあるでしょうか。
このイザナミが火の神様を生んで陰部にやけどを負って死んでしまうんですね。(ここツッコまないでくださいね。なにせ古事記なので(笑))
で、その死んでしまったイザナミに何としても会いたいと思ったイザナギは、黄泉の国(あの世)に会いに行ったのです。
(ここもツッコまないでくださいね。昔はあの世とこの世は行き来自由だったんだね~くらいで軽く流しておいてください(笑))
ところが黄泉の国で出会ったイザナミは、あまりにも変わり果てた姿になってしまっていて(まあ平たく言ったらバケモンになってたんですね。。)、その姿を見たイザナギは怖くなって走って逃げ出したのです。
しかしいくら逃げても逃げてもイザナミが追いかけてくるので、走って走ってついに黄泉の国とこの世の境まで行ったときに、この境に生えている桃の木の実を採ってイザナミに投げつけると追いかけてこなくなり逃げ切る事ができたそうなんです。
すなわち桃がもつ魔除けとしての力で逃げ切れたという事ですね。

あとその他にも、日本昔話には桃から生まれた桃太郎が鬼を退治するお話がありますよね。
桃から生まれた桃太郎は、言うなれば桃の化身と言う事が出来ますよね。
その桃の化身である桃太郎が鬼が島に行って鬼を退治すると言うお話は、まさに魔除けと言う事が出来ます。

 

それから漢方では、桃は実・種・葉・花の全て薬効があるものとしても扱われています。

この様に日本では古来より、桃は魔除けとしての力が備わっていると共に薬としても役立つ存在として考えられているという事なのです。

”モモ” を生けて家内安全無病息災

ってことで桃の節句に桃を生けると言うのは、単に季節の物だからとか綺麗だからとかっていう装飾的な意味だけではなく、魔除けとして、お家ならばご家族、会社やお店ならば従業員や仲間の皆さんの家内安全や無病息災を祈念しているという事なのです。

なので3月3日には、皆さんも「桃」を一枝でもいいですから是非生けてみられてはいかがでしょうか。
そのひと枝が会話の種やキッカケになり、話題が広がりますよ。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。