お正月に飾ったお花は、お正月が済んだからといって捨てたり燃やしたりせずに、お下がりとして生かしてあげましょう

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

昨日や今日から仕事始めの方が多いことと思います。お仕事が始まるとお正月気分は一気に抜けてゆきますよね。
そんな中この時期に良くいただくお問合せがあります。それは、「年末に生けて飾ったお正月のお花はいつ頃下げたらイイのでしょうか?」という質問です。
私が耳にしている限りでは、結構もったいない片付け方をされている方も多いようですので、今日はブログで書きたいと思います。

お正月のお花は、いつまで飾るものか

そもそもお正月のお花はいつまで飾るものなのかという事ですが、お正月は一般に「松の内」と呼ばれる期間がそれにあたります。松の内とはすなわち注連縄や門松を飾っている期間の事です。ですのでこの松の内が終わったら、お正月のお花も片付けるようになります。

ちなみにこの「松の内」の期間は、地域によって違いがあるようです。
7日までのところや10日までというところ、15日のところなど様々ですので、その地域の風習に従われたら良いと思います。もしその地域の風習がわからなければお父様やお母様、近所のおじさんやおばさんに聞いてみられたらよいでしょう。

日本にある「お下がり」の文化

お正月のお花ですが、よく耳にするのは、とんど焼の時に注連縄と一緒に燃やすというお話です。が、これは絶対にやめてください!!!まだまだ綺麗なお花を燃やしちゃうだなんて勿体なすぎます。
注連縄や門松などと同じように、歳神様をお迎えするために使ったものだからという気持ちはわかります。しかし日本には「お下がり」という考え方があるのです。

「お下がり」とはどういうことかというと、皆さん ”鏡餅” はお正月が終わったら鏡開きをしてお雑煮とかにして頂きますよね。つまり神様や仏様から下げたものをいただくという事です。今はあまり耳にしなくなりましたが、お兄ちゃんやお姉ちゃんの服などを妹や弟が使う事をお下がりというのも同じことですね。まだ使えるものは無駄にせずに生かすという考え方です。
なのでお花もこの「お下がり」の考え方で、お正月が終わったらお部屋のお花として生かしてあげましょう。

お花は生け直しをすればよい

とはいえお正月のお花をそのまま飾っていたのでは、いつまでもお正月を引きずっているようで、良くないですよね。
なのでお正月のお花に奉書(ほうしょ)や水引(みずひき)が使われていたり、お正月を連想させるような小物(水引、凧、羽子板などのようなもの)が使われていたりしますので、こういう物は外していただいたらと思います。そしてこれらはお正月ならではのものですから、とんど焼の時に注連縄などと一緒に燃やして頂ければ良いでしょう。

ちなみにいけばなをされている方で、奉書や水引を来年生けるときの参考に置いておこうと思われる方は取っておいていただければ結構です。

これらの作業を行われたら、お花をそのまま飾っておいていただいてもいいのですが、せっかくなので壺や水盤に生け直しをして頂き、新たに楽しんでいただいたら良いと思います。器や挿け方が変わっただけでも全然違って見えてきます。
そして傷んだお花がある場合にはそのお花は抜いて、代わりに春らしいお花をお花屋さんで買ってきて差し替えて頂くと、段々と春らしい風情のお花に変化してゆくので、長く楽しんでいただく事も出来ます。

「お下がり」は物を大切にする文化です

いまリフォームとかリサイクル、再生と言うことが注目を浴びています。しかし実は日本は古来より「お下がり」の考え方に象徴されるように、物を大切にし再利用をするという文化が根付いている国なのです。
神仏からのお下がり。兄弟や親子の間でのお下がり。服や着物の仕立て直し。お家の移築や改装。色々なところに根付いています。

お花もお正月が済んだからといって処分するような事はせず、お下がりとしてその命の最後まで楽しみ全うさせてあげるようにしてはどうでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。