来年を良い年にしたいと思われる方は"松"を是非とも飾ってお正月を迎えるようにしてください

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は ”光風流本部いけばな教室” のお稽古日だったのですが、そんな中、今年初めてお正月のお花のお稽古を行ないました。

あなたを守ってくれる神様(歳徳神)は「松」を目印にしてやってくる

お正月のお花と言えば、やっぱり「松」が思い浮かびますよね。玄関に飾る「門松」、そして仏様や神様にお供えするお花にも「松」が入っていたりしますし、お正月のいけばなにも「松」が必ず使われています。
ところでこの松ですが、なぜ「お正月=松」となっているのかご存知でしょうか?
昔からおめでたい時には松を使うと決まっているから。。。という事だけではなく、実はちゃんとした理由があるのです。

「松」がお正月には欠かせない理由、それは「神様や仏様のおわす場所」としてとても重要な存在だからです。すなわち「依り代(よりしろ)」としての役割です。
「依り代」とはすなわち神霊がよりつく(依り)(憑く)対象物って言うことです。

ちなみにここでいう ”神様” や ”仏様” とは、特定の宗教や宗派を指すモノではありません。地域の氏神様やご先祖様、八百万の神々などの事をさします。

歳徳神は、あなたのお家の守り神です

歳徳神というと何か特定の神様をイメージしてしまいがちでしょうが、実はそうではありません。先祖代々とかその土地の神様というような、どちらかというと ”あなた” や ”あなたのご家族” にゆかりのある存在の事を指す言葉だと理解した方が良いと私は思います。
なので “あなた” や “あなた” のご家族を守りたい、あるいは幸せにしたいという存在が、毎年交代で家に来てくださっているという事なのです。そう、まさしく「守り神」という存在なのです。

 

お正月と言えば「松」が外せないのは、神様が尖ったものが大好きだからです

ではなぜ神様は松を依り代とするのかというと、実は神様は尖ったものフェチなんです。

皆さんは目の前に「針」とか「千枚通し」の様な鋭利に尖ったものを出されると、どんな感じがしますか。
刺さりそうな怖さを感じたり、落ち着いていられない様な感じを受けたり、目を背けたくなったりしませんか?
すなわち尖ったものの先端にはそこに力が集約されており、その集約された力が発散されている場所でもあるからこういう印象を受けるのです。
言うなれば力の源ともいう事が出来る尖ったものが、神様は大好きなんです。そしてそれと共に尖ったものは刺さると痛いですよね。なので魔除けとしての役割も備わっていると考えられているのです。

針とか千枚通しなど1本だけのとがったものでもそこからあれだけの力を感じるのですから、松の様に尖った葉がいっぱい付いた松の持つパワーはものすごいものがあるので、神様からしたら狂喜乱舞するほどに最高の依り代になるという事なのです。

神様は松がある場所に居るのが、居心地が良いのです

”天女の羽衣” の昔話でも、天から舞い降りてきた天女が羽衣を掛けたのは松の枝であるように、神様と松は古来より切っても切り離すことが出来ない存在です。なので年末に玄関に門松を飾るという事は、翌年の歳徳神がその門松を目印にしてやってきてくださるという事にほかならないのです。
猫にマタタビじゃないですが、神様にとっては最高の目印だという事です。

そしてお越しになられた歳徳神は、お家の中の松を使ったお花のある場所に入ってこられます。これは人間に置き換えて考えるとわかりやすいと思いますが、お客様が来られたら座り心地の良い座布団を出して座って頂きますよね。ソファーならばクッションとかを置いて、居心地がよくなるようにしますよね。
つまり、お家に入ってこられた神様に座って頂く居心地の良い座布団やソファーになるのが、お家の中に生けられた松を使ったお花ということなのです。

”依り代”としての「松」

お正月におけるお家は神域になっています。これは「依り代」と言う言葉があらわすように、神霊がよりつく(依り)(憑く)対象物と言う事で、松がそれであり、お家がその神域であるって事なのです。
門松を目印にして神様が来られて、大掃除をして穢れを落とし注連縄(しめなわ)をはって神域となっているお家に入ってこられ、お家の中に生けてある松を使ったお花を依り代とされる。
ってことなんです。

来年1年が幸せな年になる様に希望されますか。ならば松を飾るだけであなたのお家やご家族にとって幸せな年にすることが出来るのですから、やらない手はないですよね。
豪華なものを飾る必要はありません。神様は豪華か質素かでは判断はされませんので。玄関に松1本でいいんです。お家の中にも松を使ったお花があれば、それだけでOKなのです。
ぜひお家に松を飾ってお正月を迎えて頂きたいと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。