変わった事柄と変えた事柄を考えると、今年一年の歩みを冷静に分析することが出来ますし、来年にするべきことが見えてくるヒントにもなります

こんにちは、内藤正風です。

昨日12月13日は「事始め」でした。

photo By 岡本花佳甫さん

私ども光風流においても創流以来、毎年「事始め」を開催しています。
事始めでは光風流の各支部の先生方が一堂に集いますので、事始めに先立って支部合同の役員会を同日に開催しており、昨日の支部合同役員会では「変わった事柄と変えた事柄」という事についてお話しさせていただきました。

「変わった事柄と変えた事柄」とは

私たちが生きていると「変わった事」が毎日身の回りで繰り広げられています。すなわち身の回りにある状況や環境など、自分の意思や好むと好まざるとは無関係に変わって行っています。
たとえば、3年前からコロナによって世の中が大きく変わりました。そしてコロナ禍であっても、3年前と2年前の様子は違っていましたし2年前と今とでもコロナに対する様子は全く違ってきています。
すなわち時代の変化と言われるもので、スピードの速い遅いはそれぞれによって違いますが、時代は常に移り変わってゆきます。

そして「変えた事」とは、自分で意識してこれまでと変化させたり新しく始めたりした事柄です。
たとえばコロナで休止していたイベントを再開させたとか、会議に集まるメンバーに新しい方を加えたとかというような事です。

変化しなければ、生き残ることはできない

事始めは今年1年を振り返り、そして来年の事を考える日でもあります。なので来年の事を考えるためには、今年を検証必要があります。
そんな今年を検証するために必要なキーワードが、「変わった事柄と変えた事柄」だというお話をさせて頂きました。
支部を取り巻く全ての事柄が、去年と比べて今年はどう変わったのか。そして去年と比べて今年は、支部の何をどんな風に変えたのか。をまず検証してくださいということです。

変わるというと、何か目新しい事をするとかとにかく変えればよいという風に曲解される方がありますが、私が言いたいのはそういう事ではありません。
いけばなには「基本」「変化」「応用」があるように、基本は50年前も50年後も変わらない様に、変えるべきところは変え、変えてはいけないところは愚直に守り続けましょうという事です。

日本には100年以上の企業が世界一多い理由

日本は、100年以上の歴史を積み重ねている会社が世界一多い国です。そしてその理由はいくつも挙げられると思います。
・経営者と従業員が家族的だから。
・日本人は白黒をはっきりとさせないから。
・外部からの刺激をうまく取り入れる順応性があるから。
・本業を一途に行ってきたから。
他にもいっぱいあげられるのではないかと思います。

しかしそんな中で全ての企業に絶対に共通する点が一つあるのです。それが「変わる(変える)」という事です。

「変わる(変える)」と言う事

長年続いている企業ほど、時代にあわせて変わってきているし、自ら変えてきています。
そしてそんな
変える(変わる)には大きく分ければ2通りあります。

一つ目は、本業とするものを変えるというパターンです。
皆さんよくご存じの「シャープ」は、ベルトのバックルからスタートして、シャープペンシルなどの文房具やテレビや洗濯機などのような家電などに本業が変わったり異業種にも広がっていくことで100年以上の歴史を歩んできています。

二つ目は、本業自体は変わらないけれど、その取り組むものを時代とともに変えるというパターンです。
こちらも皆さんよくご存じの「とらや」は、室町時代の創業以来お菓子を作ってこられています。
お菓子と言う本業は変わりませんが、時代にあわせて作るお菓子を変えたり、味を変えたりして、その時代時代に会うように変わってきています。

創業時と製品も組織も運営もその他何から何まで全く変わっていない。変えていない。と言う組織は絶対に残ってきていません。
なぜならそえは、時代は常に移り変わるものですし、人々の価値観も常に移り変わるものだからです。

変わるからこそ永続できる余地が生まれる

いけばなも同じです。
お稽古からしばらく離れておられる方から、「私がしていた頃と変わりましたね」と仰られる方がありますが、これって変わっていないとおかしいのです。
例えば器。
古典の花器は変わりませんが、壺とか水盤は形や色や素材が時代のニーズにあわせてどんどん変わってゆきます。
例えばお花。
新品種のお花がどんどん開発されていますし、外国からも新品種のお花がどんどん入ってきます。色の取り合わせなども、時代の流れの中でどんどん移り変わってゆきます。
例えば飾る場所。
以前は床の間を中心にして考えられてきましたが、今は床の間が無いお家がどんどん増えてきていますよね。

花を生ける、お花を長く生かす、お花を生ける事で空間を生かす、と言うようなことは十年前も五十年前も百年前も変わらずに行われてきています。
しかし、そのお花を生ける環境や、お花を長く生かすための手法や、お花を活ける事による空間の活かし方は時代とともに常に変わってきているのです。

いけばなは約700年の歴史があります。
この700年の歴史と言うのは、700年前の物をただひたすら守り大切に伝えてきたと言う事では決してないのです。
一歩一歩前向きに歩み、新しい挑戦を行って来たからこそ、700年と言う足跡に繋がっているのです。

新しいものに興味を示す柔軟さ、新しいものを取り入れる寛容さ、新しい事を行ってみようとするチャレンジ精神を抜きにしては、進歩や発展どころか生き残りすらも無いのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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