失敗を恐れず新しいものに興味を示す柔軟さ、新しいものを取り入れる寛容さ、新しい事を行おうとするチャレンジ精神がなければ、進歩も発展も生まれてこないのです
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
光風流は来年、創流65周年を迎えます。これもひとえに、これまで流派を支えてきて下さった先生方のおかげに他ならず、そういう先生方のことを考えると感慨も一際大きく感じます。
日本は、100年以上の歴史を積み重ねている会社が世界一多い国です。
その理由はいくつも挙げられると思います。経営者と従業員が家族的だから。日本人は白黒をはっきりとさせないから。外部からの刺激をうまく取り入れる順応性があるから。本業を一途に行なってきたから。
他にもいっぱいあげられるのではないかと思います。
そんな中で、長い歴史を積み重ねている全ての企業に絶対に共通する点が一つあるのです。それは「変わる(変える)」ということです。
「変わる(変える)」という事
長年続いている企業ほど、時代にあわせて変わってきているし、自ら変えてきています。
ちなみに変える(変わる)には大きく分ければ二通りあります。
一つ目は、本業とするものを変えるというパターンです。
例えば皆さんよくご存じの「シャープ」は、ベルトのバックルからスタートして、シャープペンシルや家電というように本業が変わったり異業種にも広がっていくことで100年以上の歴史を歩んでいます。
もう一つは、本業自体は変わらないけれど、その取り組むものを時代とともに変えるというパターン。
こちらも皆さんよくご存じの「とらや」は、室町時代の創業以来お菓子を作ってこられています。お菓子と言う本業は変わりませんが、時代にあわせて作るお菓子を変えたり、味を変えたりして、その時代時代に会うように変えてこられています。
創業時と製品も組織も運営もその他何から何まで全く変わっていない。変えていない。と言う組織は絶対に残ってこれないのです。なぜなら時代は常に移り変わるものですし、人々の価値観も常に移り変わるものだからです。
変わるからこそ永続できる余地が生まれる
いけばなも同じです。お稽古から離れて何年も(時には十何年とか二十何年とか。。。)経っている方から、「私がしていた頃と変わったね」と仰られる方がありますが、これって変わっていないとおかしいのです。
例えば器。
古典の花器は変わりませんが、壺とか水盤は形や色や素材が時代のニーズにあわせてどんどん変わってゆきます。
例えばお花。
新品種のお花がどんどん開発されていますし、外国からも新品種のお花がどんどん入ってきます。色の取り合わせなども、時代の流れの中でどんどん移り変わってゆきます。
例えば飾る場所。
以前は床の間を中心にして考えられてきましたが、今は床の間が無いお家が一般的ですよね。
花を生ける、お花を長く生かす、お花を生ける事で空間を生かす、と言うようなことは十年前も五十年前も百年前も変わらずに行われてきています。しかし、そのお花を生ける環境や、お花を長く生かすための手法や、お花を活けて空間の活かし方は時代とともに常に変わってきています。
これ変わっていなかったら、いけばなはとっくの昔に消えてなくなってしまっていたことと思います。
柔軟さこそが長く永続する秘訣です
いけばなは約700年の歴史があります。がしかし、その歴史と言うのは、700年前の物をただただ伝えてきたと言う事では決してないのです。一歩一歩前向きに歩み、新しい挑戦を行って来たからこそ、700年と言う足跡に繋がっているのです。
新しいものに興味を示す柔軟さ、新しいものを取り入れる寛容さ、新しい事を行なってみようとするチャレンジ精神を抜きにしては、進歩も発展も無いのです。つまりそこに「変わる(変える)」という柔軟さがあるからこそ未来が開けるのです。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。