”個の時代”とか ”自分らしさ” とよく言われていますが、個性って「人と違う事をする」という事ではありません

こんばんは、内藤正風です。

昨日と一昨日の2日間開催した「お題講習会」の中で、テーマに基づいていけるお花は10人いれば10通りの表現があって良いし、それこそが”いけばな”の「魅力」であり「醍醐味」であるというお話をさせて頂きました。

そしてそれを実際に見て感じて頂くために、光風流の講師准講師の先生方が「お題 実(じつ)」をそれぞれに表現した作品を展示し、ご覧いただく時間も設けて研究を深めて頂きました。

”個の時代”とか ”自分らしさ” とよく目や耳にしますが。。。

”個の時代”とか ”自分らしさ” と言う言葉を、よく目や耳にします。
一昔前にはみんな同じことをするのが素晴らしい事だとされた時代がありました。しかし最近は「個」あるいは「個性」を大切にしようという考え方になっています。
けれど本当の意味で「個性」と言う事について、理解し実行できている人はとても少ないように思います。

そもそも「個性」と言うものは、人と違うかどうかと言う事ではなく、自分の考え方や価値観の中核をなす部分から自然発生し表に現れたものが「個性」に他ならないと私は思います。
なので個性=他の人と違う事と考えている時点でそれは他の人との比較でしかなく、自己の中核から発せられたその人ならではのものとは全く違うのです。

とにかく人と違う事をしようとする人

個性=他人と違う事と思っている人は、とにかく人と違うようにしようしてみたり、取ってつけたように目を引く行動をしてみたりと、上辺ばかりに意識が行ってしまっている様に思います。
もうこういう人はペランペランです。全く中身がありません。(笑)だって、自分の内面から発生したものではなく、他人との比較で違う事をしているのですから。。。

なので中身の無さがすぐにバレてしまい周りから相手にされなくなってしまいますし、人から何か言われただけでスグにへなへな~ってなってしまうのでそんな行動は当然長続きもしません。

いけばなでいうと、とにかく人と違う作品を作ろうとして目先の変化だけを追いかけている状態ですね。そんな人は「とにかく変わっていればよい」みたいな考え方をしていますので、中身が無いのですぐに行き詰まってしまいます。

とにかく人のマネをしようとする人

人と違う事をしている人を真似るパターンも多いですね。そんな中で結構よく見かけるのが、斜に構えてアウトローを気取っている俄かアウトローです。

こういう人の気持ちが分からないではないです。
だって、もともと日本には「婆娑羅(ばさら)」や「傾奇者(かぶきもの)」という考え方や行動が古来よりあって、もてはやされる土壌がありますからね。

ちなみに「婆娑羅」や「傾奇者」っていうのは、日本特有の「粋」や「数寄」というものをモットもっと究極にとんがらせて極端にしたもので、見た目は異形・異様な風体をしていますが、仲間同士の結束と信義を重んじ、自分の信義の為ならば命を惜しまない気概と生き方の美学に基づいたものなのです。

ただここで間違えてはいけないのは、自分の行なう事には絶対的な責任を持っているという事と、自分の軸足はしっかりと保守本流の中に置いているという事です。
だからこそもう片方の足で自由に動き回る事が出来るし、少々おかしなことをしていても道を踏み外してしまうことは無いのです。

いけばなでいうならば、自由に変化応用を楽しんでいる人は、しっかりとした基礎力を持っているという事にほかならないのです。

自分をしっかりと見つめ成長する事が個性を育てるという事

どうしても人間は、他の人がしている事が格好よく見えたり羨ましく思えたりしてしまいます。しかしそんなところをスタート地点にして、個性なんて絶対に生まれないと思います。

人と違う事をするのが個性。。。
これは「個を出す」とか「個性」と言う事とは全く違うものだと思います。

自分の人生や価値観と言うような内面を表現する事こそが個性だと私は思いますし、言葉を変えれば「自分らしさ」とか「あなたらしさ」と言う事が個性なのだと思います。

そしてその上でもし人と違っているところがあったとしたら、それは「自分らしさ」とか「あなたらしさ」の中に、たまたま人と違っている部分が有ったって言うことにすぎないのです。

まずは自分の軸足をしっかりと位置を決め、そして安定させることが個性を磨く第一歩ではないでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください