”いけばな“を職業にする事で持つ事が出来るようになった、親への感謝や今の環境に感謝する心

こんばんは。内藤正風です。

改めて言うのもなんですが、私は”いけばな”を職業にしています。
なぜ”いけばな“を職業にしているかと言うと家がいけばなの家元だったからです。まあいうなれば、八百屋の息子が八百屋になり酒の家の息子が魚屋になりのと同じ感じです。(笑)

若い頃は親へ反発ばかりしていました

子供の頃はそれが普通だと思っていたので特に疑問に思ったこともありませんでしたが、中学高校の頃には親がひいたレールを歩くと言うことが男子一生の仕事にあらずと言う感覚を持つようになって反発をするようになりました。しかし大学に進学して一人暮らしをするようになって4年間過ごしているうちに、段々といけばなを職業にしようかなぁと思うようになりました。

今から考えるときっとこの4年間で、寝起きをはじめとして、炊事洗濯、こずかい稼ぎのアルバイトなど何から何まで自分で全てを自由にさせてもらった経験の中で、それまでの子供が駄々をこねているようなステップから次の段階への人間的な成長ができたんだろうなと思います。
なのでこの仕事についた時には、何となくこの職に就いたといっても過言ではない状態だったと思います。だって”いけばな”が好きで仕方ないからとか、いけばなを通じてこの世に貢献したいとかと言うような大望は全くありませんでしたから。。。(スミマセン)
ただ学校卒業してすぐの私がこの世界に入って”いけばな”をしていると、子供の頃からの私の事を知ってくれているおばあちゃん先生やおじいちゃん先生がすごく喜んでくれましたので、それがとても嬉しかったですしもっと喜んでもらえるようにしたいなーって思いを持っていたのは今でも覚えています。

いけばながあまりにも身近にありすぎて、いけばなの好きさ加減に気付いていなかった

こんな書き方をするとよく誤解を受けちゃうのですが、いけばなは大好きなんですよ。ただその当時は、あまりにも”いけばな”という存在が身近すぎて、そういう感覚に結びついていませんでした。かっこいい言い方をするなら空気のような存在だったのです。
だって3歳の頃からお稽古をしていて(していてというかさせられていたんでしょうけどね(笑))、私のすぐ側というか身の周りにありとあらゆるところに”いけばな”があるのが普通でしたし、父が教室や講習会に行く時には一緒に連れて行ってもらってお稽古をそばで見ていたりしていましたから、日常にいけばなという存在があるのが普通だったのです。

いけばなが好きなんだと気付いて分かった親への感謝

しかし”いけばな”を職業として年数を重ね自分自身の年齢も重ねるごとに、自分にとって”いけばな“がどんなに大切で、いけばなをどれほど好きなのかという事をことある毎に痛感するようになって来ました。
これを読まれた方は「遅ーーーーっ」って思われるかもしれないですが、本当に年を重ねれば重ねるほどその想いはどんどん強くなっています。この家に産んでもらえてよかったーーー!あの両親の子供に生まれてよかったーーー!!って。

他の人から見ると変わった家だったかもしれません。母は私を40歳の時に産んで55歳で他界しましたし、私は父が58の時の子どもなので父と一緒に街を歩いていて親子に見てもらった事なかったですから。「いいねーおじいちゃんと一緒でーー」っていつも言われていました。(笑)
けれどそれも含めて今の私の人間形成に大きな影響与えてくれたのは事実ですし、そのおかげで今日の私があるのは間違いないと思っています。

今は両親ともに他界をしてしまっているので今更ながらに感謝をしても遅いかもしれませんが、この世に生を与えてくれて、この家に産んでくれて、あの両親の子供に産んでくれてありがとうという感謝の気持ちしかないです。
そして、こんな気持ちをしっかりと持たせてくれたのは”いけばな”をしていたおかげかなとも思っています。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。