「いけばな」は修行じゃありません。楽しくなければ「いけばな」ぢゃない。けれど同じ文字を使いますが、楽(らく)をする事は楽しさへの道ではありません

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

いよいよ「アレ」が近づいてきましたね。

さあ、今日にも伝統の一戦を制して決まるのか。18年ぶりの「アレ」。「アレ」に向けて大盛り上がりです。
けれど「アレ」が、楽に手に入っていたらこんなに盛り上がることもなかったと思うのです。
18年ぶりの「アレ」、そして1試合ごとに全力で戦い応援してきたからこそ、こんなに盛り上がるのだと思います。

そんな中、楽しい=楽ではないという事についてふと思ったので、そんな事についてブログを書きました。

「いけばな」は、お花を生ける事を言う言葉ではありません

ほとんどの方が「いけばな」と聞くと、決まった形にお花を生ける事と思われている方が多いと思います。
しかしそれはいけばなの技術や知識という事のみに目が向いているのであって、いけばなの本質ではないと私は考えています。
私が考える「いけばな」は、幸せな物語のはじまりになるもの。これが「いけばな」だと考えています。

一例をあげると、先日9月9日は「重陽の節句」でした。
この重陽の節句は五節句のうちの1つであるという事や、重陽には菊を生けるんですよ、という様なことは、いけばなを学ばれている方ならば、流派など関係なく必ず学ばれることになります。
しかし私はこれだけで終わってしまっては、本当の意味での「いけばな」からの学びではないと思っています。
たとえば菊は仏様の花と思われがちですが実はそうではないという事や、菊がお刺身などに添えられているのはなぜかという事、古来より菊酒というものがあり重陽にはそんな楽しみ方もあるということなど、
普段の生活の中でのちょっとしたネタとして役立てていただく事が出来るものでなければ価値はないと思っています。

つまり、大きな手間や大きな時間や大きなお金をかけなくても、日頃の生活を豊かにしたり楽しんだりできるアイデアにはどんなものがあるのか。というようなところまで話を広げる事が出来てこそ、本当の意味での「いけばな」を学ぶと言う事だと思うのです。

いけばなは「楽しみ」であって、「修行」じゃない

”いけばな” は花嫁修業とかって風に考えられていた時期があるので、そのお稽古の様子は小難しいイメージをもたれている方が多いようです。けれど私はいつも、「いけばなは修行ではありません」と皆さんに申しあげています。
例えばお坊さんでしたら、肉体や精神を限界まで追い込む事で今まで見えなかったものが見えるようになったり、感じる事が無かった事を感じられるようになったりすると言うのは解ります。
しかし「いけばな」はそんなものではありませんので、辛い思いやしんどい思いをしても、上達はしませんし効果的な学びには結びつきません。

お稽古は楽しい方がその内容を知らないうちに覚えていたり、技術が身についているものです。
なので私は、楽しくなければお稽古じゃないと断言しています。

楽しい=楽(らく)ではありません

ただここで間違って頂きたくないのは、「楽しい」と「楽(らく)」は全然別物だという事です。結構多いんですよねこの事を混同してしまっていたり誤解されている方が。
ちなみにそういう方は、負荷=悪いことという構図が頭の中にあるように私は感じます。

テレビゲームやゴルフなどを考えていただけるとわかりやすいと思うのですが、テレビゲームやゴルフがあんなに面白いのはなぜでしょう。理由はたった1つです。それは出来ないことがあったり思い通りにならないからこそ面白いと感じるのです。
逆説的に考えてみましょう。テレビゲームがちょこちょこっとやったら全ての面をクリアできてしまうようなものならば、あんなに熱中するでしょうか。ゴルフが初めてクラブを握った時からホールインワンがポンポンできてしまうようなものだったら、あんなにみんなが面白がったりするでしょうか。
毎日毎日何もせずにゴロゴロしていたら、楽しいでしょうか。最初の1日2日は楽しさを感じるかもしれませんがそんなものすぐに飽きてしまいます。
つまり負荷があるからこそ、試行錯誤や成長の喜びや達成感や満足感を得る事が出来ているのです。

いけばなも同じです。
自分では出来ない技術を、何度も何度も繰り返してお稽古して出来るようになるから、達成感を感じることが出来るのです。初めての体験を通じて自己成長を感じる事が出来るから楽しいのです。試行錯誤をしたり何度も挑戦することによって作品作りを行うからこそ満足感を得る事が出来るのです。

お解りいただけましたでしょうか。楽(らく)をいくらしても(お弟子さんにいくら楽をさせてあげても)、その先に楽しさや満足感や達成感は絶対にないという事なのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください