話をすれば分かってもらえると思うのは大きな間違いで、同じことを話していても相手のアンテナの種類次第で、伝わっていないことが多々あります

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は、昨日の教室でお稽古が終わった後にお茶を飲みながら生徒さんとお話をさせて頂いた、「アンテナ」という事について書きたいと思います。

伝わっていると思うのは大きな間違い

同じ人に何度も同じ話をしているのに、全く伝わらないという事があります。”あります” じゃないですね。”とても” よくあります。そしてこういう状況になったらイラっと来ますよね。何度同じ事を言わせるの。。。って。
これ実は、聞いているのに理解できていないという事ではないという事が、だんだんと分かってきました。ではなぜこんな事が起こっているのかというと、伝わっていないのです。

人が物事を聞いて理解するという行為には、ある一つの事が大きな影響を及ぼしています。それは「アンテナ」です。
結論から言うと、「アンテナ」が立っていれば言葉が耳に残り理解する事が出来るのですが、「アンテナ」が立っていない人は話をいくら聞いていても全く耳に入っておらず、したがって理解に結びつきようがないという事なのです。

アンテナは、その人の人生経験に基づくか必要に迫られた種類のものが立つ

この「人に立つアンテナ」というのはどういうモノかというと、テレビのアンテナに例えると分かりやすいと思います。
テレビってテレビの受信機や画面があっても、アンテナが無ければ映らないですよね。地上波デジタルが見たければ地上波デジタルのアンテナが必要です。BSを見たければBSのアンテナが必要ですし、CSを見たければBSのアンテナが必要になります。
ここで大切なポイントは、テレビの電波は目には見えないですが、私たちの周りを色々な種類のものが飛び回っており、そしてこの電波を捕まえようと思ったら捕まえたい電波の種類のアンテナが必要だという事です。

つまりここで言う「テレビの電波」にあたるのが、私たちの日常身の回りにある色々な話や情報ということです。そしてその人がこれまでに積み重ねてきた人生経験やいま必要としている事柄によって、その人に備わるアンテナが変わってくるのです。
そしてその事によって何が起こるかというと、同じ話を聞いていても心に残る部分やなるほど~と思う部分が全く違ってくるのです。

求めよさらば与えられん

いけばなをお稽古されている方が、指導者の資格を取得されてお弟子さんの指導を行うようになると、自身のお稽古での学びや気付きの量が一気にあがり上達されます。これは先に書いたように立場が変わった事と、意識するようになったという事によって、これまでに無かったアンテナが立ったという事なのです。

いけばなのお稽古を通じて沢山の情報が目の前を流れていっていても、意識をしていない時は全ての情報が素通りしてしまっている状態です。しかしお弟子さんの指導を始められたとたんに自身にアンテナが立ち、それまで記憶のかけらにもならなかった事がチャンと学びとして残る様になるのです。

「求めよさらば与えられん」という古くからの言葉がありますが、立場や経験の違い、そして必要に迫られることこそが、自己成長をのいちばん大きな原動力になるのだと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。