色んな個が混ざり合うから、とても魅力的なものが生まれる可能性が出来るのです。

こんにちは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。

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先週金曜日に開催した【内藤正風流家元にお花と人生を教わる会 Part 2】
その中で今回取り上げたテーマは「侘び寂び」です。

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「侘び寂び」って日本人みんなが耳にしたことがある言葉であり、日本を代表する価値観だと思います。
しかし「侘び寂び」という言葉の意味については、漠然としていて簡単にそして明確に人に伝える事が出来にくい言葉ではないかと思います。

侘び寂びとは何か

私は「侘び寂び」って言葉には、ものすごく大きな意味があると思っています。
それは単に日本を代表する価値観と言うような狭い意味ではなく、これからの私たちが幸せな生活を送るために必要な要素や、お仕事を素敵に進めて行く為に必要な教えがあると思っているからなのです。

ちなみに『侘び寂び』をググると

わび・さび(侘・寂)は、日本の美意識の1つ。
一般的に、質素で静かなものを指す。
本来侘(わび)と寂(さび)は別の概念であるが、現代ではひとまとめにされて語られることが多い。

とあります。

美意識の一つ。。。。。
質素で静かな物。。。。。

確かに!!(笑)

しかしこれだけでは、簡潔すぎてよくわからないじゃないですか。(汗)

そこで私なりにもう少し付け加えるならば、ここでいう「質素」とは、”寂しい” とか ”みすぼらしい” と言うようなものではありません。
すなわち「貧相」ではなく「閑静」と言う意味であり、この「閑静」と言うのは、そのものの持つ「特徴」を生かすと言う事に他ならないと考えています。

「見立て」から生まれる「特長」

ではこの「特徴」とは何かと言う事ですが、私は ”他の物や人と比べた時に、特に目立っていたり、他にはない要素” の事だと思います。
この「特徴」をちゃんと見い出す事が「見立て」に他ならないですし、この見い出した「特徴」を活かす事が出来て初めて「特長」になるのです。
逆に「見立て」ができなかったり活かす事が出来なかった場合には、この「特徴」が「短所」となってしまいます。

いけばなでお花を生けようとするときに、皆さんまず最初に自分の価値観でココが良いって思うところを生かそうとされますよね。
これは至極正しい事です。
しかしこの時の「ココが良い」という判断をされる基準が ”自分にとって都合がよい” になってしまう方がとても多いのです。

「特長」と言うのは先にも書きましたように「他の物や人と比べた時に、特に目立っていたり、他にはない要素」なのですから、パッと見てココが良いなぁと思うところは、実は自分にとって都合がよく使いやすい部分と言う事でしかないのです。

自分の価値観や思考を超越したところにこそ「特徴」が備わっている。
特長とは他にはないオンリーワンなのです。
もしかしたら、変だなぁと思うところ、嫌だなぁと思うところにこそ、その他にはないものが備わっているかもしれないのです。

すなわち「見立て」る側の力量の問題です。

見立てる側の力量が大きいほど、大きな魅力を引き出す事が出来る

枝やお花を見立てるだけではなく、学校でも同じことが言えるのではないでしょうか。
学校で「良い生徒」と言うのは、先生や父兄にとって「都合がよい生徒」すなわち勉強ができたりスポーツができたりして、問題行動を起こさない、他の生徒と違うところが少ない生徒の事をさす場合がほとんどですよね。
これって、会社と言うか社会でも同じですよね。

【内藤正風流家元にお花と人生を教わる会 】を Part 1&2の両方を受講して下さった雑賀 静さんが、この時の事を書いてくださったブログの中で次の様にご紹介くださっています。
雑賀静さんのブログ

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まずは桜のどの部分を使うかを選びます。普通はお花が沢山付いてる枝や、真っ直ぐで生けやすい枝を選びますが、侘び寂びは違います!
敢えて、いびつな形をした生けにくそうな枝を選ぶんです。

家元は「人間も一緒。優等生は優秀だけど面白くないでしょ。やんちゃだけど絵描かせたらむちゃくちゃ上手いとか、そういう人は独特の味がある。」と、いつも短く切ってしまうような枝を選びました。

そんな発想、メチャ斬新だと思いませんか?

生け花という伝統文化の中で、花に優劣をつけるのではなく、その花の持つ「個を生かす」という思考が根付いているなんて、夢にも思いませんでした。

だから家元は、いつも何に対しても肯定的で強要しないし主張もしない、凛とした振る舞いをされているんだな〜と思いました。

伝統文化は、技法だけでなく、日本人の奥ゆかしい侘び寂びの精神も受け継がれているんですね。

これは、服飾デザインにも通じる所はあります。ファッションデザインは、素材の持ち味をいかす事です。素材の持つ特性や風合いを理解し、そこが引き立つ様なディテールを上手く取り入れるのが腕の見せ所。

でも、1番大切なのは「遊び心」。生け花もファッションも基礎はありますが、柔軟に楽しんでする事が何より大切!

日本はそもそも「個を生かす」文化なのです。

色んな個が混ざり合うから、とても魅力的なものが生まれる可能性が出来るのです。
人と違うから、そこに価値があるのです。
違う魅力が集まるから、大きな力を発揮するのです。

いけばなも社会も同じだと思います。

同じ形、同じ考え方、同じ力、同じ発想がいくら集まっても、そこに刺激は無いし、そんな中で化学反応は起こりません。
短所に見えてしまっているのは、自分の力不足で特徴を生かせていないだけかもしれません。

そんな事を改めて考える機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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