いけばなでは、規格外の花材を面白がり価値があるものと考えますが、人間も人と違う所を尊ぶようになったら良いのになと思います

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

私は”いけばな”をしていてつくづく感じる事があります。それは、「規格外にこそ魅力があるし価値がある」という事です。
今日はそんなことについてBlogを書きたいと思います。

規格外って、いつから”ダメな扱い”をされるようになったのでしょう

“いけばな“ をしていると、特徴を大切にします。それはザックリと言うならば、まっすぐな枝よりも曲がりくねった枝や、まっすぐなお花よりも曲がったお花のほうが価値があるという考え方です。
ではなぜそういう考え方を “いけばな“ ではするかというと、画一化されたものよりも、他にはないものにこそ魅力があると考えるからです。
すなわち、みんなと同じところではなく、みんなと違うところにこそ魅力があるし価値があるという事なのです。

ところが普段お花屋さんや市場を流通しているお花は、真っ直ぐで同じ寸法のモノでなければ流通せず、そういう企画から外れたものは「格外」として値段もつかないので流通しません。お花で説明してわかりにくければ、スーパーで売られている野菜で考えて頂くとわかりやすいと思います。キュウリもキャベツもトマトも同じ形や大きさのものが陳列されたりパックに詰められて売られていますよね。お花もこれと同じなのです。

キュウリやキャベツやトマトは調理するときに切っちゃいますので、同じ大きさや形である必要は大半ではほぼないと思います。何なら食べるときに噛むのですから。(笑)
そう考えると、同じ形や大きさである必要性はないんですよね。まあしいて言うならば、梱包がしやすい、見た目が良いってことくらいでしょうか。

そしていけばなで用いるお花に至っては、生けるときに特徴を生かしたほうが良い作品になるのですからちょっとくらい曲がっていたほうが良いと私は思っています。
ところがいつのころからか、こう言う「規格外」って駄目な扱いをされるようになってしまっているのです。

特徴を生かす事が出来ないのは使う側の問題

特徴とは他にはない部分になりますので、使う側に力が無ければ生かす事が出来ません。そして使おうと思ったら手間もかかります。
すなわち経験の浅い人がお花を生けようとしたときには、画一化された材料を使ったほうが生けやすいという事です。プラモデル的に、「これは〇㎝に切ってここに生けて、それは〇㎝に切ってそこに生けて。。」みたいな感じです。

また、お花屋さんまで運んでくるのもお花屋さんが扱うのも、同じ寸法でまっすぐだったほうがカサが低いですし梱包もしやすいですもんね。
いずれにしろ、使う側に力(実力)が無くてもなんとかなるし、手間が掛からないという事がその根底にはあるのだと思います。

みんなと同じには価値はない

しかしここでハッキリといえることは、みんなと同じという事には価値は無いってことです。
だって価値とはすなわち「希少性」なんですから。

世界一走るのが早いからオリンピックで金メダルをもらえるし、称えられるのですよね。みんなと同じレベルの早さなら価値はありません。
モナリザは素晴らしい絵であると共に、世界に1つしかないから価値があるんですよね。誰でもが書くことが出来るレベルであったり、同じものが10,000枚も存在していては価値はありません。
歌手や俳優さんも、歌や演技が上手なだけではなく、その人にしかない魅力や世界観があるから価値があるんですよね。お遊戯やのど自慢レベルだったりその辺のおっさんやオバはん、お兄ちゃんやお姉ちゃんと同じ空気感や存在感だったら、そんな人に誰も魅力を感じないです。

得意ではなく「特異」を伸ばすことこそが大切

今世の中は、得意なことを伸ばそうと色んなところで言われています。しかし私は思うのです。得意を伸ばすのも大切ですが、「特異」を認めることも大切なのではないかと。

みんなと同じ事を良しとするのではなく、他の人にはない特徴に目を向け長所になるようにする事こそが、いけばなでは魅力あるいけばなの作品作りにつながるし、人では魅力ある人を生み出すための第一歩だと思うのです。

私は思います。「マイノリティ」と言う言葉をいろいろなところで目や耳にしますが、掛け声ばかりで本当の意味でお互いの特徴を認め合い尊重するところに、日本はまだまだ行っていないなと。
今風に言うならば “尖らせる“、すなわち「特異」を伸ばしその上で人と違うところを認め合う事こそが、人間もいけばなの作品も魅力になるし価値になるのだと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。