日本語の擬音や擬態語の多さから感じた、日本人がもつ豊かな感性と物事を見立てる力とその表現力について

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

昨日は京都までお出掛けしてきたのですが、その移動の車中でいろんなお話をしながら ”ふと” 思ったのです。日本人、それも特に関西人はオノマトペが凄く多いよなぁって

見立ての得意な日本人だからこそ、日本語には「オノマトペ」が沢山ある

擬音とオノマトペって似た意味の言葉ですよね。これ数年前に気になって調べて分かったのですが、オノマトペって擬音や擬態語の総称なのです。
つまり「雨がザーザー降っている」は擬音。「星がキラキラ輝いている」は擬態語。そしてその両方の事をオノマトペと言うのです。
これぞまさしく日本語って世界的に見ても情緒豊かな言語だといわれる例だと思います。

擬音って、聞こえた音や感じたものをそのまま言葉に置き換えて表現するものですし、擬態語は見て感じたものをそのまま言葉に置き換えて表現した者ですが、この置き換えこそが日本文化の特徴でもあり日本人の最も得意とするところでもあるのです。

ちなみにこの置き換えというのは、イメージの転換です。
日本では古来より、あるモノを別の物に置き換えて表現することを「見立て」と呼んでおり、まさに擬音や擬態語もこの置き換えだと思うのです。
1つの物を見立てて置き換えるためには、そのもの自体の本質を理解する必要があります。本質とは他の物には無い要素、すなわち特徴です。
そして特徴を理解する事が出来れば、そこから先の置き換えは自由に行う事が出来るという事なのです。

見立ての象徴は「家紋」です

例えば家紋は、極めてシンプルな形になるまで抽象化されたデザインです。鳥や花や身近な色々な物をよく観察し、不要な要素を取り去り特徴のみが残る様にしたものが家紋です。
その上このシンプルなデザインなのに、その家の系譜が判ったり大切にしている信条や家訓までもが表現されていたりするのですからすごいと思います。

ちなみにこの家紋ですが、例えば「藤」をもとにして作られたものだけでも何十もデザインが有ります。
「藤」の特徴をしっかりと理解しているからこそ、そこから発展させると共に自由に置き換えをする事が出来る様になり、これぞまさしく見立ての神髄だといっても過言ではないと思います

擬音や擬態語とは微妙なニュアンスの違いから情景までを短い言葉で表す日本語の極み

さて話を戻して、日本人は視覚や聴覚や触覚、味覚などありとあらゆるものを擬音や擬態語で表現することによって、微妙なニュアンスの違いまで伝える事が出来るようになったと私は考えています。
例えば「雨」ひとつをとっても、ぽつぽつ。しょぼしょぼ。しとしと。ぱらぱら。ばらばら。ざあざあ。などその雨量や降り方などにあわせてとても沢山の擬音があります。そのうえそれぞれの地域による方言というか表現もあり、私が住む播磨地域では、雨の降り始めに「雨が”ぴりぴり”しはじめた」言う表現を使ったりもします。

擬音ひとつで、雨の降り方だけではなく雨が降っている情景までも連想させてしまうのですから、日本人と言うのはなんて感性豊かな民族なのかと感心すると共に「日本人に生まれてよかった」と誇りに思います。
そんな感性豊かな日本人だからこそお花を生けるという行為も、世界に例を見ない進化を遂げさせ「いけばな」という文化にまで昇華させたのだと思います。
日本人はやっぱりすごいです!

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。