”いけばな” の作品作りに求められるのは「総合力」であり、知識や技術だけいくら学んでも良い作品を生み出す事は出来ないのです

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

一昨日の木曜日に、7月5日(土)6日(日)に開催する「光風流いけばな展」の作品作りのお稽古にお越しになられた方に、「いけばなの知識や技術は道具でしかない」というお話をさせて頂いたのですが、今日はそんな事について書きたいと思います。

"いけばな"の技術や知識はハンマーと同じで、あれば便利な道具なのです

「いけばな」と聞くと、お稽古されている人もされていない人も、 ”お花を生ける技術やそれに関する知識が大切” と思われがちなのですが、実はそうではないってご存知でしょうか。

お花を生ける技術や知識というのは、言うなれば道具です。ハンマーであったりドライバーであったりと同じなのです。すなわち ”使う人によって役立て方が変わる” ものであって、いけばな作品を作るにあたって絶対に必要不可欠なものではなく、有ったら便利だという存在のものになります。

いけばなの知識や技術は単なる道具でしかない

ハンマーやドライバーなどの道具は沢山あれば便利ですよね。だって、ハンマーも大きなものや小さなもの、金属製やゴム製の物など色々な種類を持っていれば、小さな釘を打つ時には小さな金槌、傷がつきやすいものを叩く時にはゴム製というふうに使い分けをする事が出来ます。これはドライバーでも同じで、メガネに使われている極小のねじを締める時と、一般的な大きさのネジを締め付ける時とでは使う大きさが違います。

いけばなの知識や技術も同じで、色々な知識や技術を持っていれば、あらゆる場面に対応することが出来たり色んな材料を活かす事が出来たりします。
しかしここで大切なのは、いけばなの知識や技術を沢山知っているからといって、すなわちそれが良い作品が出来るという事とイコールではないという事なのです。

よい道具を持っているから何でも出来るのではない

だって良い道具を持っているだけでは、その道具を生かす事は出来ないのです。いけばなで言うならば良いアイデアであったり良い構想があるからこそ良い作品を生み出す事が出来るのです。
すなわち、良いアイデアや良い構想を形にするために「知識や技術」が役立つのであって、良い知識や技術だけでは魅力的な作品には結びつかないのです。

私はいけばなは「総合力」だと思っています。良い知識や技術だけでは良い作品を生み出す事は出来ないです。また逆に良いアイデアや良い構想だけでも良い作品を生み出す事は出来ないです。
つまり良い作品とは、「技術」×「知識」×「アイデアや構想」の掛け算から生み出されるものであり、このアイデアや構想というのは最終的にはその作者の「人間力」だと思うのです。

いけばなに求められる総合力の肝になるのは「人間力」

遊び心のある人の作品は楽しい作品だったり、色気のある人の作品は色気を感じる作品だったり、人としての面白味がすなわち作品に現れるものだと思います。
良い作品を作りたければ、色んな所に行って様々な文化に触れて刺激を受けたり、友達と過ごす時間を大切にしたり、色々な本を読んだり映画を見たりして感性を揺さぶられたり、そういう事が絶対に必要なのです。

知識や技術がいくら高くても、その人の魅力、すなわち「人間力」が1ならば、その掛け算は力を発揮しません。しかし逆に、知識や技術が多少未熟であっても、「人間力」が大きければその掛け算は大きな力を発揮するようになるのです。
つまりいけばな作品を生み出すために大切なのは、「知識」と「技術」と「人間力」の掛け算だという事です。

魅力あるいけばな作品を作りたいと思うならば、自分の人間力をどんな風に育てるかこそが肝であり、それは自分次第なのだと思います。

 

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。