いけばなの「見立て」は日本文化の真髄であり、人生を楽しむ為のものの見方に通じる考え方だと思います。
こんばんは。内藤正風です。
立冬が過ぎたという意識が有るので余計にそう思っちゃうのかもしれませんが、日に日に夜明けが遅く日暮れが早くなり朝晩は寒くなってきましたね。
ものごとは見方を変えるだけで全然違って見える
日が短くなるというと何か寂しい気がして悪いことのように思いがちですが、見方を変えれば日常生活の中で朝焼けを見る機会が増えると言うことでもあるのですから、その意味では楽しみが増えるということが出来るとも思います。
夏なんて朝焼けを見ようと思ったら4時台に起きないと見れないですよね。そんなの朝帰りしてるときくらいしか無理っす。。。(笑)
ものごとは見方を変えるだけで全然違って見えてきます。
ここでいう”見方を変える”と言うのは、「見る視点を変える」という事と、「見たものの受け取り方(解釈)を変える」ということになります。
実はこれって”いけばな”における「見立て」と同じ事なんです。
いけばなに不可欠な「見立て」
いけばなは生(なま)の植物を素材として作品を作ります。植物には農家で作られたものであろうと自然の中で採取してきたものであろうと、その枝振りは2本として同じものはありません。全て違います。
この枝振りを生かすための第一歩が「見立て」という作業になるのです。
枝振りを生かすと一言で言っていますが、それはすなわち材料が持つ特徴的なところを見出して活かせる扱いを施すという事になります。特徴的な材料の良い所というのは見る人によって変わります。すなわちAさんが思う良い所とBさんが思う良い所は違っているのが普通ということです。
見立てる力は使い手の力量次第
ではなぜ人によって見立てが違ってくるのかというと、見る人の経験や力量によって見立てる力が変わってくるからなのです。
経験が豊富で力のある人ほど許容範囲が広く、より特徴的なところを生かすことが出来ます。よく”尖っている”という表現をされる場合がありますが、尖ってればいるほど特徴的なんです。
この尖り方が激しいほど、その部分を生かすためには使い手側の力量が必要になってくるということです。
その意味で言うと、これはもう植物を生かすと言うことも人を生かすと言うことも同じだと私は思っています。
よく学校の教育で「個性を生かす教育」とか「個性を伸ばす教育」という言葉を見かけますが、ハッキリ言って今の学校教育では無理です。だって学校にも先生にもそれだけの許容範囲と力量と覚悟は無いですから。
あっ勘違いしないでくださいね。学校教育の批判をしたいわけではないです。事実を言っているだけなので。
思い込みや既成概念から離れてみると、人生が楽しくなります。
夜が明けるのが遅いので寂しい。。。日が暮れるのが早いので寂しい。。。。。それって一面的な見方ですよね。
夜が明けるのが遅いということは、朝焼けを日常生活の中で楽しむ事が出来るようになると言うことでもあります。日が暮れるのが早いということは、秋の夜長を楽しむことが出来ると言うことです。ゆっくり本を読んだりDVDを見たり、早く帰って家族でゆったり過ごしたり、早い時間から寝ちゃうのもいいでしょう。
植物に2本として同じ枝振りがなく、その枝振りの見立ても人によって全く違うのと同じように、身の回りに起こっている事をあなたならではの見立てをしてはどうでしょうか。人と同じ事をしていても面白くないですよ。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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