「扱いにくい」は欠点じゃないんです。他には無い”特徴”だから、扱い手を選ぶだけなのです。

こんばんは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。

今日教室でお稽古している時にある生徒さんが、一番魅力的な枝振りの材料を除けておいて、フツーな枝振りを使おうとされていましたので、「その除けられた枝が一番面白い(魅力的な)部分ですよー」ってご案内させて頂きました。
すると「どうやって使ったらいいのか判らないので、見えないところに置きましたー」って言われたんです。
いやー大笑いしました。見えないところって、子供じゃないんですからー(笑)

いけばなにおける「見立て」の重要性

いけばなをしていると「見立て」と言うことがとても大切になります。
材料の枝振りを見立てる。
お花の色の取り合わせを見立てる。
飾る場所にあわせて作品の大きさを見立てる。
見立てなくしていけばなは成立しません。

そんな見立てには原則があります。
それは、見立てる人の力量で判断が変わってくると言うことです。

「見立て」は人によって変わってくる

同じ材料に向き合っても、Ⓐと言う人の見立てとⒷと言う人の見立ては違います。
それは何故かというと、好みや価値観、経験、力量が一人一人違うからです。
好みや価値観はどうすることも出来ません。だってそれが人間だもの。。。(みつお風)(笑)

しかし経験や力量は自分でいくらでもレベルアップさせる事が出来ます。
すなわち、見立てる力は育てる事ができると言うことです。

「見立て」とは魅力を作り出す力

「見立て」とはすなわち生かし方です。
よくテレビや雑誌に掲載されてる「お見立て会」ってありますよね。あれなんかもそうです。
その人に似あう着物を選ぶ。逆に言うとその着物が生きる人に奨める。
着物と人、そのそれぞれが生きる選択をするのが「お見立て会」です。

いけばなでも同じです。
その材料が一番魅力的に見える扱い方をする。すなわち生かすですね。
お花の色が生きるように扱う。すなわち生かすですね。
飾る場所にあわせた大きさの作品を生ける。これも生かすですね。

生かすと言うのは言い換えれば、魅力を作り出すと言うことでもあるでしょう。

「魅力」と言うのは他には無い特徴を見出し活かす事によって生まれます。
すなわち扱う側の力量がそのまま反映されるって事です。
力量が小さければ、特徴を見出し生かす力も小さいですし、力量が大きければ、特徴を見出し生かす力も大きいと言うことです。

特徴とは

特徴って下の絵のようなものだと思います。

 

特徴があると言うことは、どこか一部分が強烈に突き抜けているって事です。
逆にそうではないということは、まんべんなく揃っているって事です。

どこか一部分が強烈に突き抜けているって事は、逆に何にもない部分もあるって事で、そんなの扱い難いんに決っていますよね。
まんべんなく色んな要素が整っている方が扱いやすいに決まっています。

しかし他に無い要素があり、どちらが魅力的で面白さが有るかというと、突き抜けている方が圧倒的にその資質が備わっていますよね。
ただ使い手を選ぶって事なのです。

特徴は生かすも殺すも使い手の問題です。
自分の力量を大きく育てる事こそが、特徴を見極め生かすために一番大切な事ですね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。