いけばなの指導をさせて頂いていると、「名付け親」になることが度々あります
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
いけばなをしていると「名付け親」になることが度々ありますので、今日はそんなことについてブログを書きたいと思います。
先々週「名付け親」になりました
先々週、お稽古にお越しになられている生徒さんに、いけばなの名前を名付けさせていただきました。とはいえ「名付け親になった」と言っても、私達「いけばな」をしている人間には驚くような事でもないですし、そう珍しい事ではありません。
どういうことかといいますと、「いけばな」には花名(かめい)と言うものがあります。これはその字の通り、お花を通じて名のる名前の事であり、雅号という風に呼ばれる場合もあります。
お弟子さんのお稽古が進み、ある一定のステップまで進むと、この「花名」を指導者の先生はお弟子さんに名付けるようになります。
ちなみにこの花名をつける段階や名付けのルールなどは、それぞれの流派によって様々ですし、中には花名の無い流派もあります。
光風流では「中伝」というステップになったら花名を名付け、男性は「風」女性は「甫」の一文字を名前の最後にいれます。
ちなみに光風流では、「風」や「甫」の文字を用いて名づけを行ないます。「風」は光風流の流祖、内藤光風の一文字で、流祖の教えを忘れないようにとの意味があり、「甫」は始まりと言う意味のある文字で、始まりを忘れないようにとの意味があります
私は花名をつけさせていただく時には、色々と考えます。皆さんのお名前にはご両親の「思い」や「愛」が込められていますので、名前の文字をまずしっかりと理解させて頂きます。そのために辞書でその文字の持つ意味を調べたり、その文字の含まれた故事成語なども調べたりします。もちろんご両親が込められたであろう思いなども推測します。(これは私の勝手な推測ですが。。)
その上で、その方のお名前に使われている文字の中に、私がその方に対して持つ思いや希望が伝わる文字があれば、その文字を出来るだけ使わさせて頂きます。
あるいは、本名に用いられている読みの音が同じで別の文字をあてる場合もあります。全く違う文字を使う場合もあります。
ただとにかく、私なりに生徒さんに対して願う事や思いや希望を込めて名付けさせて頂いています。
名付けはとても大きな意味のあることです
最近は、皆さんお子さんの名前を付けられるときに、ご両親が名付けられるのが一般的ですが、以前は実の親以外の方に名前を付けてもらう事も珍しくはありませんでした。
それは、実の親以外の人に命名を頼むと言う事は、その子の将来にわたる後見役やご意見番としての意味や、時には生活の保証までも意味しているものであり、子供に対して将来にわたるサポートを親だけではなく、より多くの人が関わり行なうという知恵でもあったのです。
ですから名付け親は、親戚の中の「本家筋」や職場の上役、学校の恩師、結婚した時の仲人などがなる事が多く、有力な後見人というニュアンスも含まれていたのだと思います。
このように「名付け」と言う事が持つ意味を考えると、たかが「いけばな」で用いる名前と言えども、名前をつけさせて頂くという事は決して軽々しい事ではないと私は思うのです。
今回の方の名付けの由来や私の思いなども、ご本人にはその折にしっかりと所以をお話させていただきました。
これからいけばなをしっかりと学び、いけばなから学ばれたことを自分の身の回りの皆さんに伝えてくださることを、心より願っています。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。