「豆を撒く」という事と「お花を生ける」という事の根底には、人知を超えたものへの畏れと敬いがあるのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

明日はいよいよ節分ですね。節分と言えば「豆まき」と「恵方巻き」です。
豆まきは子どもが小さいころはしていましたが、いつの頃からか、しなくなっちゃいました。けど皆さんにも、こういう方多いんじゃないでしょうか。

恵方巻は、我が家の子供が小さいころには、恵方を向いて太巻きを一本丸かぶりをするような風習は一般的ではなかったように思います。とはいえ、なにかの節目の時やお祝いの時に巻きずしは食べていたようには思いますし、来客があるときにお寿司の盛り合わせをとったりしていましたので、巻き寿司も含めてお寿司は「ハレ」の食べ物だったんだなぁと思います。

お家で豆まきすると片付けが大変ですよね

豆撒きって小さいお子さんにとっては楽しい機会の一つだと思います。保育園や幼稚園で鬼のお面を作たりもしますので、お家で豆撒きをする気満々で帰ってきますもんね。

けれど、このお家でする豆まきって、親御さんは大変ですよね。だって豆を子供たちが遠慮なしに豆を撒いてくれるのですから、この撒いたお豆さんの後片付けしないといけないですし。
その上に、この撒いた豆を歳の数だけ食べると風邪をひかなくて身体が丈夫になるって事で拾って食べるので、事前にその辺りのお部屋を全部お掃除しておかないといけなくなるのですから、子供が小さい時には毎年節分には子どもたちが学校に行っている間にお掃除三昧で大忙ししていたのが懐かしい思い出です。

豆撒きの由縁

ところでこの豆撒きって、なぜするか由縁はご存知ですか?

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もともとは中国から伝わった ”邪気払い” からの考え方なのでしょうが、平安時代に京の都で鬼が出て悪さをするので、炒った豆で鬼の目をつぶして封じたというのが始まりと言われています。
ちなみに私は、子どもの頃から昔物語を聞いたり読んだりするたびにいつも、京の都には鬼が出たり妖怪が出たり、霊は出るは崇り(たたり)が起こるはで、まあビックリするほど賑やかなところだったんだなぁって子供のころに思っていました。

植物には人知を超えた力があると考えられており、そういう存在だからこそ神前や仏前にお花を供えるのです

ところでこの「豆を撒く」というのは、お花を神前や仏前に供えるという行為にも通じるところがあります。
どういう事かというと、植物には人知を超えた力があると古来考えられています。それは、植物を切っても、切り取った下側の根元はもちろんそのまま生きていますし、切り取った先の部分も水につけているとそのまま生き続けていますよね。こういう力は、人間はもちろん動物にも虫にも無い力です。

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なかには柳の様に、切り取った枝を水につけていると根っこが生えてくるものが有ったり、切り取った枝を土に挿していると根付くものがあったりと、その生命力や存在は人の知恵や力を超えた神仏に近いものとして特別な存在として考えられており、だからこそ、神様や仏様をお祀りするときには必ずお花というか植物を手向けるのです。したがって豆撒きの豆も、植物だからこそ生命力と魔除けの力が備わっている特別な物と考えられており、豆を撒く事で邪気を追い払う事が出来ると言うことなのです。

あと日本人は語呂合わせで意味づけるのも得意ですよね。
豆(まめ)は「魔目(まめ)」に通じ、加えて鬼の目に豆を投げつける事で「魔滅(まめつ)」に通じ、邪気を追い払って一年間の無病息災を祈念することができるという意味でもあるのです。
まあただこうなってくると、大喜利で「バンザーイバンザーイ」みたいになっちゃいますので、ほんまかぁ?って思われている方も多いでしょうが、古くからのいわれはこういう意味があり本当なんです。

まあとにかく、家族や大切な人の無病息災や平穏無事を願うのは人類共通の思いでしょうから、明日は豆撒きをされる方もしない方も、心は「魔滅」の思いを持って過ごしていただけたらと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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