「基本」とは初心者のものではなく、自分らしさを表現するための核であり土台なのです

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は光風流の幹部の先生方や、幹部候補の皆様を対象にした講習会を開催しました。その中で基本、変化、応用ということについてお話をさせていただいたので、ブログでも取り上げたいと思います。

基本がしっかりしているから超人的な事が出来る

いけばなには「型」というものがあります。と、こういう話をすると多くの皆さんが、堅苦しいとか窮屈と言うイメージを持たれるようですが、実は全く違うということをご存じでしょうか。

「型」とは言い換えるならば「基本」です。「基本」と言うのは一つの事を行う上で必要な土台となるものです。「基本」についていけばなで考えるとわかりにくいでしょうから、自転車のBMXという競技でこの「基本」について考えてみたいと思います。

自転車のBMXとは、自転車に乗って前輪を浮かしたまま走ったり、宙返りをしたりというようなアクロバティックな事をする競技の事を言います。たぶん動画とかテレビとかで一度は目にされたことがあるのではないかと思います。

この競技をされる人って、普通に自転車乗ったらムッチャうまいです。
地面にひかれた線の上を外れることなくチャンとまっすぐ走ったり、指定されたところでちゃんと停止したり、カーブも安全に曲がる事が出来ます。ってか、普通の人よりも基本的な操作は格段にうまいです。
これが自転車でいうと「基本」にあたるのです。

人よりも格段に「基本」を習得していて自転車に乗るのがうまいから、その上に練習する事で前輪を浮かして走る事が出来るようになったり自転車で宙返りをする事が出来たりするんです。
自転車でまっすぐ走るのが精いっぱいだったり右や左に曲がる事が出来ない人が、宙返りや前輪を浮かして走ったりは絶対に出来ません。

基本は初心者のものではありません

私が見ている中で、基本を軽んじたりおろそかにする人には共通している事が一つあります。それは「基本=初心者のもの」と思っているという事です。
基本は初心者のために存在しているのではありません。ではなぜ基本を一番最初に学ぶのかというと、一番大切なものであり、初歩の段階から上級者まですべての段階で必要になる「核」となるものだから、一番最初の段階から学んでいただくようになっているという事なのです。

なので一番最初に学ぶ基本は、初心者が理解できるようにした基本だという事です。したがって中級者には中級者の基本があり、上級者には上級者の基本があるのです。
つまり基本には浅い理解から始まり、自分の成長に応じてより深くそしてより広く理解してゆくものだという事です。ようするに基本の理解度や習得度が違うという事なのです。

「基本」は自分の魅力を発揮し、自分らしさを表現する土台なのです

いけばなでも同じです。「基本」と言うのは「土台」です。基本を深く理解して「土台」が大きければ大きいほど、シッカリしていればいるほど、お花で出来る事が増えると共に表現の幅や可能性が広がるのです。
色々な場所で、色々な材料にあわせて、色々な器を使って、その機会に相応しいお花を生ける事が出来るのです。
自分のしたいと思ったことや、イメージを形にする事が自由自在に出来ると言う事です。すなわちそれは楽しみが広がるという事に他ならず、自分らしさを表現するためには必要不可欠な土台でもあるのです。

いけばなの醍醐味、それは自分なりの創意工夫を加えた作品を作り上げることにあります。何も知らないのに自分なりの創意工夫をしようと思っても、魅力的なものを生み出すことは不可能です。だってベースになる知識や技術なしに何とかなったりはしないのは、火を見るよりも明らかだと思います。

「基本」を学び、その基本をもとにして創意工夫を加えて変化応用をする。基本は制限ではなく、核であり土台となるものなのです。

 

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。