「基本」はレベルが低いのではありません。そんなお話から今年の光風流夏季セミナーはスタートする予定です

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

来週末はいよいよ「光風流夏季セミナー」です。
夏季セミナーで行なう家元講義の講義案の骨子も肉付けも完全に出来上がっているのですが、もっと分かりやすい表現はないか、もっと濃くすることは出来ないかと、今月に入ってからは練り上げることを続けています。

今年の光風流夏季セミナーのテーマは「いけばな進化論」

光風流夏季セミナーでは毎年テーマを設けて開催をしています。これは、その年ごとにテーマを設定することによって特徴のある内容にすると共に、今の光風流に必要なことを取り上げ、光風流の皆さんに学んでいただく事が出来る様にするためです。
その様な中で今年の夏季セミナーにおいて「いけばな進化論」というテーマを設けたのは、いけばなには基本・変化・応用があり、そして時代に合わせた進化を行なってきたからこそ700年の歴史を積み重ねる事が出来ており、このようなことが可能になっているのはしっかりとした基本があるからにほかなりません。

そこで今年の夏季セミナーでは、「基本」とはなにか、そして「基本」の奥深さや価値を知る事がいけばなを正しく理解し生かす事が出来るという事を光風流の皆さんに知っていただきたいと思っています。

「基本」は最初にお稽古をしますが、それはレベルが低いからではありません

「基本」と聞くと、初心者のモノとかレベルの低いモノと思われる人が多いでしょうが、実はこれこそが大きな勘違いなのです。
ではなぜ基本を一番最初に学ぶのかというと、超絶初心者から超絶上級者まで必ず必要になるものだからこそ、一番最初に学ぶという事なのです。

例えば自転車のBMXを例に考えると分かりやすいのではないかと思います。BMXは自転車で前のタイヤを浮かせて走ったり、自転車でその場でくるくる回ったり、山道をとても速いスピードで走ったりします。
この時に自転車の基本は、ペダルを踏んで走る、車体を倒して曲がる、ブレーキを握って止まる、だと思うのですが、自転車の上級者になったらこれらは必要なくなるでしょうか。そんな事はないですよね。まだ逆に上級者になればなるほど、これらの基本を高いレベルで行なう様になっていますよね。
つまり基本はレベルが低いものではないという事なのです。

基本を正しく習得したければ、正しい指導を受ける必要がある

基本はレベルが低いものではないというお話をしましたが、では何なのかというと、基本は基本なんです。(笑)
つまり初歩の基本があり、中級の基本があり、上級の基本があるという事なのです。
一番最初に学んだ基本は、学ぶ人自身が初心者なので浅い理解しかできていないという事なのです。なので学ばれる方の状態に応じて、中級者になれば中級の理解が出来る様になり、上級者になれば深く理解が出来るようになるという事なのです。

変わった作品は目先の変わった事をすればいくらでも生み出すことが出来ます。しかし単に目先が変わっているだけの作品は人目は引きますが、見ていて疲れてきたり飽きてきたりします。一方良い作品は、ことさらに目を引くような派手な要素は無いかもしれませんが、見ていると味わいがあり惹かれてゆく魅力があります。
つまり、
良い作品を生み出せるようになりたければ、基本を正しく学び生かす事が出来る様になる指導を受ける事が大切なのです。

というような感じで今年の夏季セミナーでは、こんな内容から始まって家元講義を行なおうと思っています。
お越しになられる皆さん、どうぞお楽しみになさってくださいね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。