今年の光風流「夏季セミナー」では、基本の価値と美しさについて光風流の皆様に学んでいただきます
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ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
暑いですね~。昨日も曇り時々雨のお天気で気温はそんなに高くなかったですが、湿度が高くて蒸し蒸ししていました。これはいよいよ夏本番ですね。
いけばなが基本からお稽古をスタートするのは、それが習得の近道だからです
いけばなのお稽古は「基本」と呼ばれる「型」からお稽古をスタートしますが、それにはちゃんとした理由があります。
それは自由にしてご覧って言われたら逆に困るし、短期間で順調に成長する事が出来なくなってしまうからです。
分かりやすい様に、いけばなではなく車の運転を例に挙げてみましょう。
これまでに車やオートバイなどの運転をしたことの無い人が、「とりあえず運転してご覧」って言われたら困りますよね。だって全く分からない事をとにかくやってご覧って言われても、なにをどうしたら良いのかすらわからないのですから。
なのでそんなときには、基本的な操作をまず教わって、それから真似をしながら自分でやってみるってステップを進んでいったほうが安心だし分かりやすいですよね。
そして基本的な操作を習得してから、自分なりの創意工夫を加えていったほうが運転も楽しめますよね。
なのでいけばなも、最初の入り口は基本的な「型」と呼ばれるものから学んでいただくようになっているのです。
「型」は大切だけれども、囚われ過ぎてもいけない
特にいけばなを学ばれている人の中には「型」に必要以上にこだわる人がおられます。そんな時って日本人って真面目だな~って思います。
ちなみに私ども光風流のいけばなにおける「型」の位置づけは、お花を生ける行動を制限する外枠ではなく、逆に「型」を核として行動の範囲を広げるためのものになっています。
すなわち「型」を学ぶ事を通じて、何故その「型」が定められているのかという「本質」を学ぶことが大切なのです。
「本質」を理解するから行動が自由になるし、自由なんだけれども大きな間違いを起さなくなってゆくことが出来るのです。
目の前で繰り広げられている事は単なる事象です。
いうなれば植物の枝葉なのです。枝葉は風が吹けば揺れ、冬になれば葉を落とすように常に姿を変えています。そこには物事の本質は無いのです。
ではどこを見ればよいのかというと、枝葉から目を移して太い枝を見たり幹に目を移しながら、根元や根っこに目を移すように意識すれば、本質を感じる事が出来るようになります。
いけばなをしていて感じるのは、世の中の全ての事柄は何事によらず、目に見えているものに囚われすぎないことが1番大切なんだなと私は思います。
成長をピラミッド型で考えるから「基本」はレベルの低いものと勘違いしてしまうのです
「基本」というと多くの方がレベルの低いものという解釈をされますが、それは大きな間違いです。
まあそんな風に解釈される原因は明白で、基本を一番最初にお稽古することに起因しているのは間違いありません。
ではなぜ一番最初に基本からお稽古をスタートするのかというと、基本とは初めてお稽古をされる方から超絶上級者まで必ず必要になる存在だからです。
どんなに変化応用したお花を生けていても、基本の原理から外れたものは魅力的な作品にはなりません。というか超絶変化応用していて感じの良い作品ほど、絶対に基本の原理に忠実に作品が構成されています。
つまり基本はピラミッドのいちばん底辺ではなく、球状の中心にある核にあたり存在だという事なのです。
基本はいつも美しい
基本は、初心者、中級者、上級者、それぞれのステップにおいての理解と習得があります。
つまり初心者が学ぶ基本と、中級者が理解を深める基本と、上級者が練り上げてゆく基本は全く別物であり、それを一言で表現するならば、知らない事を知るという「無知の知」に他なりません。
7月23日(日)に開催する今年の夏季セミナーの家元講義では、「基本はいつも美しい」というテーマのもと、基本の役割と価値について光風流の皆さんに正しく理解して頂く機会にしたいと思っています。
基本を正しく理解し、学びを深めれば深めるほど、いけばなの面白さが大きくなってゆきますよ。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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