ニュースを見ながら思った、一つの事に取り組むという事とそこから生まれる狂気について

こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

私はテレビを見ませんので芸能関連ネタの話題にはまるっきり疎いのですが、そんな私でも市川猿之助さんのニュースはネットニュースなどで目にしています。
歌舞伎界を背負っておられる方ですから、何であれとにかく物事が良い方向に進んでゆく事を願うばかりです。

愚直に取り組む「狂気」

歌舞伎はそのお家に生まれたら子供の時から一生その道に人生を捧げると言っても過言ではないと思います。なのでこのニュースを目にしたときに私の頭に思い浮かんだのは、「セッション」という映画でした。

映画のタイトルで分からなくても、この写真を見たら、あぁ~!!って方も多いんじゃないでしょうか。
「ファッキンテンポ~!!!!」って場面を思い出されませんか。
私は映画館で1度見て、そのあとDVDで何度か見ているのですが、刺激的でとても刺激的な映画です。
ちなみにこういう何かを生み出す人物が題材の映画は、私は大好きなのでよく見ています。

ご覧になられたことの無い方のために粗筋を簡単にザックリいうと、一流のドラムプレイヤーを目指す若者が音楽学院に入学して、鬼教官の「指導」と言うよりは「しごき」の中で、取り組む姿勢、演奏技術、自らの精神を高めてゆくと言うような内容です。(かなりザックリですよ)

そんな中で私はこの映画のキーワードである「狂気」から、とても大きな刺激を感じています。
「狂気」という言葉からは、たんに ”狂っている人” みたいに受け取られる方が多いでしょうが、ここでいう狂気とは、自らの信じる道をまっすぐに愚直にひたすら歩んでゆくという事です。

1つの事にただひたすら取り組むからこそ成しえる事

映画「セッション」の中では、生徒は自分が一流のプレイヤーになりたいと思い毎日を過ごしています。
ドラムの練習で手の皮がむけて、絆創膏を何度も何度も張り替えながら、それでも練習をやめずに、ドラムに血が飛び散っていても、ひたすら練習を続ける。
ドラムの上達の妨げになるからという理由で、付き合っていた彼女と別れる。
鬼教官に自分の無能を責められ、親の事までボロカスに言われても、ひたすらドラムをたたき続ける。
そこまでしてドラムに取組んでいる中で精神的に追い込まれてしまい自動車事故を起こし、腕も自由に動かないような状態なのにドラムを叩こうとする。

教官は教官で、一流のプレイヤーを育てるために自らの全てを注ぎ込み、生徒を追い込み、その結果として音楽学院を追われることになってしまう。
しかしそうなっても、一流のプレイヤーを育てるというその道をひたすら歩んでゆく。
もう、教える方も教わる側も、精神異常者か変態か。。。みたいな状態です。

けれどよくよく考えると、結局、世の中で結果を出している人と言うのは、人並みに何かをしている人ではありません。
音楽の世界、絵画の世界、スポーツの世界、ありとあらゆる世界全て同じだと思います。毎日毎日、愚直にひたすら取り組む。

よく才能だと言われる方がありますが、これは大きな間違いです。
どんなに素晴らしい才能も、磨いたり刺激を受けたりして開花するものであって、何もせずに才能が花開いたりすることはありません。
レベルの低い間は、要領のよさや才能で何とかなるかもしれないですが、レベルが高くなり、特に一流と呼ばれる段階では、才能だけで何かが出来たり人より抜きん出たりすることなど絶対にありえない事です。
そしてレベルが高くなればなるほど、他人から見ていると「狂気」と感じられてしまうひたむきさや愚直さがそこには必ず存在してくるのです。

とはいえだからと言って、人を傷つけたり攻撃したりと言う事を承認しているのではありませんので、勘違いなさらないでくださいね。あくまでも求道者としてと言う事です。

こういう映画はたまに見て、刺激を受けるのが良いと思います

全ての事に言うことが出来ると思いますが、愚直にまじめに取り組む、そして自分の出来うる限りの最高を目指す事で、新しいステップにレベルアップできたり人と違う経験が出来たり、みんなが知らない喜びを得られるようになるのだと思います。
この「セッション」という映画は、そんな事を私たちに教えてくれたり、改めて気づかせてくれたりする映画だと思います。
モノ作りに携わっている人、何かを生み出す職業の人、自営業の方は、絶対に見るべきお勧め映画です。

あと「イブサンローラン」もおすすめですよ。こちらはモノづくりに携わる人間の狂気と孤独に焦点をあてて表現されている映画です。

ぜひご覧になってみてください。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。