新しいものへの興味や新しいものを取り入れる寛容さを持ち続けなければ、進歩や発展どころか生き残ることすら叶わなくなります

こんにちは、内藤正風です。

12月に入り、教室によってはお正月の若松のお稽古なども始まってきています。って、これだけ聞いたら「え~、まだ12月なったばかりなのに。。。」って思われる方もあるとおもいます。

お稽古っていろんな形があります。月1回のコースの方、月2回のコースの方、毎週お越しになられる方などなど。
そんな中で、月1回のお稽古をされている人で毎月第1週とか第2週とかに教室にお越しになられている方は、12月の前半で今年のお稽古が終わっちゃいますので、お正月のお花を学んでいただこうと思うとこの時期にお稽古して頂くしかなくなっちゃうのです。

とはいえ、お正月の花はやっぱり12月下旬に生けて頂きたいので、可能な方はお稽古の日程を月の前半から後半に変更して頂いたりはしています。

なぜ日本は100年以上続く会社や商店が世界で1番多いのか

教室で行なっているお稽古の合間の空いた時間にネットで調べ物をしている時に、「日本は100年以上の歴史を積み重ねている会社が世界一多い国」という記事がありました。
この事自体は有名な話ですから、ご存じの方が多いと思います。

ちなみに、世界の中で日本が突出して100年以上の会社が多い理由は、いくつも挙げられると思います。
・経営者と従業員が家族的だから。
・日本人は白黒をはっきりとさせないから。
・外部からの刺激をうまく取り入れる順応性があるから。
・本業を一途に行ってきたから。
他にもまだまだ挙げられるのではないかと思います。

しかしそんな中で、全ての企業に絶対に共通する点が一つあるのです。
それは、「変わる(変える)」と言う事です。

長く続いている会社や商店は、自らを変えている

長年続いている企業ほど、時代にあわせて変わってきているし、自ら変えてきているのです。

変える(変わる)には大きく分ければ2通りがあると思います。
1つ目は、本業とするものを変えるというパターンです。
皆さんよくご存じの「シャープ」は、ベルトのバックルからスタートして、シャープペンシルや家電というように本業が変わったり異業種にも広がっていくことで100年以上の歴史を歩んでいます。
2つ目は、本業自体は変わらないけれど、その取り組むものを時代とともに変えるというパターン。
こちらも皆さんよくご存じの「とらや」は、室町時代の創業以来お菓子を作ってこられています。
お菓子と言う本業は変わりませんが、時代にあわせて作るお菓子を変えたり、味を変えたりして、その時代時代に会うように変わってきています。

創業時と製品も組織も運営もその他何から何まで全く変わっていない。変えていない。と言う組織は絶対に残ってこれないのです。
なぜならば、時代は常に移り変わるものですし、人々の価値観も常に移り変わるものだからです。

変わるからこそ永続できる余地が生まれる

いけばなも同じです。

例えば器。
古典の花器は変わりませんが、壺とか水盤は形や色や素材が時代のニーズにあわせてどんどん変わってゆきます。
例えばお花。
新品種のお花がどんどん開発されていますし、外国からも新品種のお花がどんどん入ってきます。色の取り合わせなども、時代の流れの中でどんどん移り変わってゆきます。
例えば飾る場所。
以前は床の間を中心にして考えられてきましたが、今は床の間が無いお家がどんどん増えてきていますよね。
例えば道具。
昔は太いものを切ろうと思ったら、のこぎりでギコギコ引くしかなかったのですが、今ならチェーンソーや電動のこぎりなど便利な道具が沢山あります。

花を生ける、お花を長く生かす、お花を生ける事で空間を生かす、と言うことは10年前も100年前も変わらずに行われてきています。
しかし、そのお花を生ける環境や、お花を長く生かすための手法や道具、お花を活けて空間の活かし方は時代とともに常に変わってきています。

お稽古から離れて何年も(時には十何年とか二十何年とか。。。)経っている方から、「私がお稽古していた頃と変わりましたね」と仰られる方がありますが、これって変わっていないとおかしいのです。
だって時代は移り変わっているし、その中で求められる役割も変化してきているのですから。
その変わり方は様々あれど、変わるという事を行わなければ永続性は無くなってしまうのです。

新しいものに興味を示す柔軟さ、新しいものを取り入れる寛容さがなければ、進歩も発展も無いのです。

いけばなは約700年の歴史があります。この700年の歴史と言うのは、700年前の物をただひたすら大切に伝えてきたと言う事では決してないのです。
一歩一歩前向きに歩み、新しい挑戦を行なって来たからこそ、700年と言う足跡に繋がっているのです。

一昨年の末から始まったコロナ禍で、どんな新しいものを取り入れましたか。新しい取り組みは行なっていますか。コロナ以前と比べて何を変化しましたか。興味を持っている新しいものは何ですか。
新しい年を迎えるにあたって、一度考えてみてはどうでしょうか。教室で行なった改革、昨年から今年にかけて支部で取り入れた新しい事、どんなことが挙げられますか。

変わる(変える)という柔軟さがあるからこそ未来が開けるのです。
一昨年の末から今までの間にもし何も変わっていないなら、それはかなり危険です。もし何も変えようとすらしていなかったのならば、それは致命的かもしれませんよ。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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