1日の事を「朔日(さくじつ)」って言いますが、これって日本古来からの考え方が今に伝わる言葉なのです

こんばんは。内藤正風です。
今日は流派の役員会を開催しました。

月の始まりである1日(ついたち)にこの会議の開催があるのは非常に珍しいので、毎月開催している会議もなんとなく新たな気持ちでのぞむ事が出来ました。
って言っても会議は役員の先生方がどんどん進めてくださるので、私は自撮りして遊んでいる程度なんですけれどね(笑)

1日(ついたち)の事を「さくじつ」ともいいます

さて、この1日(ついたち)ですが、「さくじつ」とも言いますよね。「さくじつ」っていっても”昨日”ではないですよ。この場合は「朔日」と書きます

「朔」という文字は「屰」という文字と「月」という文字で出来ている漢字です。
「屰」には”元に返る”という意味があり「月」は文字の通り月を表しています。すなわち「朔」という文字は”月が元に返る”ということを表したもので、「新月」を表した漢字なのです。

日本は古来、月の運行を元にした暦を使っていました

「新月」を表した漢字「朔」と「1日(ついたち)」に何の関係があるのかと思われるでしょうが、実はとても大きな関係があるのです。
それは。。。

日本は元々、月の満ち欠けを元にした暦を使っていた!!!

って事なのです。

日本は元々は月の満ち欠け(運行)を元にした暦の「太陰暦」を使っていました。この「太陰暦」というのは月の満ち欠けの周期を”ひと月”としたもので、全く何もない状態(新月)からスタートして満月になり、また何もない状態に戻るまでの一巡をひと月としていたのです。

この新月の状態の事を「朔(さく)」と呼ぶ事から、月の始まりの日の事を「朔日(さくじつ)」と呼んでいたのです。

地球は月の影響を大きく受けています

いま太陰暦はほとんど使われていません。しかしだからといって月の力が全く無関係かというとそうではありません。日常生活のあらゆるところで月の運行は関係しているのです。

潮の満ち引きは月の力により起こっています。月に面しているところが常に満ち潮なのです。そしてこの満ち潮の時に人は生まれ、引き潮の時に人は亡くなると古来より言われています。
また怪我をした時の出血も満潮時には多いと言われています。
女性の身体は月の影響を大きく受けていると言われています。

”いけばな”においても、月の力ということを学びます。特に”いけばな”で素材とする植物には”養い(水揚げ)”が大切なのですが、その養いを施すときに月の満ち欠けや潮の満ち引き等が関係してきます。

月と太陽は、地球には無くてはならない存在です

月の運行を元にして作られた暦を「太陰暦」、太陽の運行を元にして作られた暦を「太陽暦」と言うように、古来より太陽は「陽」の存在、月は「陰」の存在と考えられています。
ただここで勘違いして頂きたくないのは、「陽」=良い、「陰」=悪い、という風に捉えられがちですが、決してそうではないという事です。

「陽」と「陰」は表裏一体のものなのです。表と裏、右と左、などと同じで、どちらも必ず存在するしお互いに必要なのです。
「裏」が無ければ「表」は存在しません。「右」がなければ「左」も無いのです。「陽」になりたければ「陰」をしっかりと知らなければ「陽」にはなる事が出来ません。なぜならば”大きな陽”には”大きな陰”を内包しているのですから。

昔の人はこういう事を生活の中で感じ、「月の力」というものを身近に感じるとともに、大きな畏敬を持っていたのでしょうね。

今も日本は月を暦としていたころのなごりがこのようにして色んな所に残っているって事ですね。そんな事を改めて思った9月朔日です。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。