「花は足で生ける」。こんな言葉が"いけばな"には昔から伝わっているのです。

こんにちは。内藤正風です。

いま光風流は、この週末に開催する「展覧会形式の勉強会」に全てが染まっています。
そう、まるでバネが縮んで力を溜め込んで一気に飛び出すような感じで、本部いけばな教室のお稽古をはじめとして流派の全てがこの一点に向かっています。

いけばなには花材が大きな影響を与えます

そんな「展覧会形式の勉強会」では幹部の先生方の手によるモデル作品を会場内に展示するのですが、このモデル作品の質を少しでも高くするために、各先生方は日々お稽古に励まれています。
しかしどんなにお稽古をしても、いけばなの作品は「材料」という要素によって作品の出来不出来に大きな影響を及ぼされてしまいます。
だって”いけばな”は、花材(お花を生けるのに使う材料。植物。)が無いと作品を作り上げる事が出来ないのですから当然のことですよね。
これは昔から変わらないことで、実はいけばなには「花は足で生ける」という言葉があるのをご存じでしょうか。

花は足で生ける

「花は足で生ける」といっても、花を足で持って挿して生けるって事ではないですよ。
少々器用な人でも無理です、無理ー!(笑)

では「花は足で生ける」って何を言っているかというと、「材料探しには労力を掛けなさい」ということなのです。

昔はお花の材料は、野や山に採りに出掛けていました。だってお花屋さんなんて無かったですから。
そんな中で良い材料に出会おうと思うと、あちらこちらに歩いて出掛けて探さないといけなかったので、この「花は足で生ける」という教えになったのです。

「花は足で生ける」の心は今も同じ事です

これって今も全く同じだと思います。良い材料とめぐり逢おうと思ったら労力を掛けないといけません。

知り合いに山を持たれている方があるならば、山歩きをして良い材料を探す、まさに「足で生ける」を実践しないといけないでしょうし、良い材料を探してお花屋さん巡りをするのも「足で生ける」でしょう。

材料探しに行ける山が無い方はお花屋さんに依頼して材料を取り寄せるために、お金という労力を掛けるのも現代版「足で生ける」ということでしょう。
ギリギリの本数から使う材料を見立てるよりも、沢山の材料の中から最適なものを選んだ方が良い材料に出会えるのですから、これもお金という労力を沢山掛けたという事で、「足で生ける」という事なのだろうと思います。

良い花材に出会えるのは、出会える努力をしたからこその結果です

良い材料と巡り合うのは、ある意味出会いです。
しかし良い材料と出会うのは、良い材料を見立てる事ができる目を養う努力と出会える努力をしたからこその結果なのです。
すなわち「花は足で生ける」という労力を掛けた必然でもあるのです。

素敵な作品の陰には、こういう見えない労力も掛けられているのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。