いけばなの作品が思ったように出来るから楽しいのではなく、思ったようにならないからこそ楽しいのです。だってテレビゲームが楽しいのは出来ないからなんですから

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

先日の写真撮影の時に、光風流講師として活躍して頂いている先生と話をしている中で、「うまく出来ないからこそ楽しい」という話をしましたので、今日はその事についてブログを書きたいと思います。

いけばなの作品作りは舞台作りとよく似ていると思います

いけばなの作品作りは一発勝負になります。これはいけばなの作品が生の植物を素材としているので、書画や陶芸の様に事前に作品を作って置いておくっていうことが出来ないからにほかなりません。
とはいえここでいう一発勝負というのは、出たとこ勝負的な乱暴な話ではなく、事前にしっかりと準備やお稽古を行なったうえでの一発勝負という事になります。

例えるならば、演劇の舞台と同じだと言えると思います。舞台には脚本がありどんな完成を目指しているのか明確です。なのでその舞台を完成させるために、当日までにセリフを覚えたり動きを覚えたりして何度も何度も練習を積み重ねてゆきます。いけばなの作品作りで言うところの事前の準備にあたります。
そして舞台当日に臨むのですが、思ったようにセリフが出てこなかったり、逆にいつも以上に良い演技が出来たりしてきますので、いけばなが生の植物を素材にして枝ぶりや咲き方がその時にならないと分からない中で作品作りをしている1回1回が真剣勝負であり一発勝負だというのと正に同じだと思うのです。

思い通りにならないからこそ楽しいのです

作品を作りあげるというと、一定のレベル以上の作品を作ればよいという風に考える方が居られますが、それは大きな考え違いだと私は思っています。

単に作品だけを見れば、レベルの低い作品よりも高い作品の方が良いに決まっています。そんな事は言うまでもありません。
しかし、それ以上に大切なのは、向上心を忘れずに常に自分を成長させることだと私は考えています。
つまり、とにかくその場(作品を展示する機会)を凌いだらいいと考えるのか、折角の機会なので自分の持てる力を全部出し切ったり新しい挑戦をしようと思うのかによって、得る物や楽しさは雲泥の差になってきます。

楽しみながら挑戦を続ける事が出来る人が、一番強いんだろうなぁと思います。
とにかく試行錯誤しながらやり続ければ、その先にヒントやアイデアが生まれてきますし、うまくゆくようになるのだと思います。

テレビゲームが面白いのと同じです。出来ない事に挑戦するから面白いのです。出来なかったことが少しずつ上達するから面白いのです。
テレビゲームが最初から全部簡単にクリア出来てしまったら、絶対に面白くないですよね。ゴルフがすべて思い通りのショットができて、何も考えたり困ったりせずに済んでしまったら面白くなくなっちゃいますよね。
出来ないから試行錯誤をする。色んなチャレンジをしてみる。思い通りにならないからこそ楽しいしワクワクでき、少しずつ出来る事が増えてゆくからこそ達成感や満足感を得る事が出来るのです。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。