”らしさ” にこそ、他にはないオンリーワンの「魅力」があるし「価値」があるのです

こんにちは、内藤正風です。

昨日から宮古島に来ているのですが、自然や風景など目にしながら、「らしさ」って良いよなぁ〜ということを度々感じているので、今日はそんなことについて書きたいと思います。

標準、安全、便利、綺麗を求めると、「らしさ」が無くなってゆく

いま、世界中のあらゆるところに行っても、国際化という名のもとに再開発がされていてとても綺麗になっています。
世界中の人が思う「標準」を備え、世界中の人が感じる「便利」を備え、世界中の人が感じる「綺麗」や「安全」がそこにはあるのですから、進歩というか進化をしているのだと思います。
しかしその分、その土地 ”ならでは” の特徴や魅力が無くなってきているように感じています。

例えば神戸の新開地は、私が子供のころには神戸の古くからの繁華街としての大人な怪しさや危険な香りがありました。元町高架下なども戦後の闇市っぽい匂いを醸していましたし。(笑)
しかしいまの新開地は綺麗に再開発がなされて、当時の独特な雰囲気は無くなっていますし、高架下も耐震補強や再開発というような名のもとにオシャレにはなっていますが、そこにしかない「らしさ」というものまでが失われて行っています。

「らしさ」とは特徴であり、「特徴」とは他にはない要素

いけばなの作品作りでは「らしさ」を大切にします。
それは例えば、材料の持つ特徴的な部分であったり、その流派の持つ特徴であったり、他にはない面白さやだったりします。
「らしさ」に目を向けるから、魅力的な作品を生み出すことが可能になるのです。

なのでこの「らしさ」を生かそうと思うと、「平均化させない」という事がとても大切になってきます。
すなわち平均化させないという事は、他と同じようにしないという事です。

町に置き換えて例えるならば、高層ビルがいっぱい並んでいる景色は世界中の都会が似たような絵面ですよね。
しかしその国や地域の古来からある建築方法の建物がいっぱい並んでいる景色は、他の国や地域では見ることが出来ない特徴的な風景を生み出します。
食べ物も同じです。
限られた地域でしか食さないメニューは、味も他では体験することの無いものですが、それだけにそこに行かなければ食べることが出来ない特徴的な存在に他ならないのです。

平均化は、自滅へのカウントダウン

どこに観光に行っても、自分が住んでいる家の周りと全く同じだったら、そこに旅行に行きたいと思いますか。
毎日家で食べている同じ食事を、お店に行ったり高いお金を払って食べに行きたいと思いますか。
思わないですよね。

自分が生けた作品と全く変わらない作品が、どこのお家に行っても飾られていたり、どこのいけばな展に行っても展示されていたのでは、見に行きたいと思わないですよね。

他と違うという事は「魅力」であり「価値」にほかならず、逆に平均化してしまうという事は魅力を失うという事にほかならず、それはすなわち自滅への道であり終わりの始まりだということを、痛感しています。

”特長” や ”らしさ” って本当に大切なことだと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。