国際化しグローバル化が進むという事は、言い換えれば平均化するという事であり、だからこそ独自性や特徴というアイデンティティが大切になってくるのだと思います

こんばんは。内藤正風です。

先日、中国の海南省を訪問した時に凄く思ったことがあります。それは、海外に行っているという気持ちに全くならなかったって事です。

これまでで1番異国情緒を感じなかった訪中

これまで海南省には度々訪れていますし、そのたびに凄く異国情緒を感じていたのですが、今回は全く感じなかったのです。なぜこんなに今回の訪中では異国情緒を感じないのかと思って考えてみて1つ思い当たる事がありました。それは町がとても綺麗になっていて人々の様子も凄く変わっていたからなんです。

まず第一番目に感じたのが、街並みがとても綺麗になっていました。大きなビル、広く綺麗な道、日本や諸外国で見かけるショップの看板、空気感は東京や大阪や神戸と大きく変わらないんです。

そして二番目に感じたのが、車がとてもスムーズに走るようになっていました。以前ならば常に周りでクラクションがブーブーブーブー鳴りまくっていたのですが、法律でクラクションはどうしてもというとき以外は鳴らしてはいけないという風に定められたらしく、とても静かに走行するようになっていると共に、車の流れもかなりスムーズになっていたのです。

第三番目には、トイレがとても綺麗になっていました。以前だったらかなり高級そうなお店に行っても、トイレは結構汚かったのですが、今回の訪中では呼吸をするのもはばかられる様なトイレには一切出くわすことはありませんでした。

確かに私が度々訪中しているから、慣れているということも挙げられると思います。しかしそれ以上に、街に居てこれまでに私が感じていた中国らしさが無くなってしまっていたのです。

世界に通用するリゾート地になることの功罪

海南省は観光開発にとても力がそそがれていて、中国のハワイと言われている様にまさしく世界に通用するリゾートになる様に開発がすすめられています。
その事自体はとても素晴らしい事だと思うのですが、国際化されてグローバリゼーションが進んで世界に通用する街になればなるほど世界の中では平均化されてしまい、これまで海南省に行って感じていた特徴が無くなってしまってゆく事なんだなぁと思いました。

これは日本でも同じことが言えるのであって、外国から来られた方が京都や奈良に行きたいとか、富士山が見たいとか紅葉が見たいとかって言われるのは、まさしくTHE日本!だからなんだと思うのです。
東京や大阪でビルを見たいなんて人はほとんどないと思うのです。まあせいぜい買い物したいってくらいの事ですよね。

日本ほど特徴に溢れた文化や風習を持つ国は他にはない

私は日本ほど特徴のある国って他には無いと思っています。それは日本が島国であるという事と共に、江戸時代には鎖国していて世界から孤立していた時代が長かったからこそ、古くから伝わってきている日本独特の文化や風習が沢山残っているからに他ならないと思います。

国際化とかグローバリゼーションが大切だとよく言われます。しかし国際化しグローバル化が進むということは、諸外国と同じようになってしまって特徴が無くなってしまうということでもあると思うのです。
いま世界は国境を越えて一つになろうという方向に向いているように感じます。そんな中では尚更それぞれの国や民族の持つ独自性や特徴というアイデンティティが大切になってくるのではないでしょうか。

自分は何者なのかを知ることがグローバル化の第一歩

自分は誰なのか。どういう歴史を積み重ねてきたのか。ということをしっかりと持つ事こそが自己の土台になるのでしょうし、その土台がっしっかりとしていない人に真の国際人と呼べるような素養が備わる事は無いのだろうなと思います。

そしてこれは、私ども光風流においても同じことが言えるのだと思います。光風流の持つ独自性や特徴、歩んできた歴史、そう言う事をしっかりと大切にしなければ明日は無くなってしまうと思います。

今回の訪中では、そんな事を改めて考える機会にもなりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。