毎年12月13日は「事始め」と定められていますが、この日に生けるお花も古来よりの伝承で定められています

こんにちは、内藤正風です。

光風流で1年の締めくくりとなる行事「事始め」も終わって、新年に向かってまっしぐらの毎日を送っています。

各団体の忘年会が無いと、こんなにゆったりと年末を過ごせると判明

今年はコロナ禍という事で、各団体などの忘年会が全滅状態になっています。この様な状況の中ですから当然のことだと思います。
そんな中で改めて感じたのは、年末が忙しいって言っているうちの何割かは忘年会によってそうなっていたんだなぁってことです。

お陰で今年の12月は、事始めが終わって以降は何となくのんびりと時間が過ぎていっていますし、マッタリとしてしまって逆に仕事が捗っていないって感じの部分もあります。
「ぼちぼちとやろう」と思っていながら全然手付かずになっていたり、また明日、また明日。。を繰り返してしまっていたり。。。
「頼み事は忙しい人にしろ」って言葉が、「まさにそうだよなぁ~。」って自分の毎日から反面教師として痛感しています。

うん、これじゃあいかん!!!
(笑)

事始めのお花は、古来よりの伝承で定められています

先日12月13日に開催した「事始め」ですが、毎回花手前を行ないお花を生けて頂いています。
そしてこの花手前のお花は好き勝手に生けているのではなく、実は古来からの伝承にのっとって生けているものなのです。

光風流伝書には「事始は、古昔天地穏やかにして、萬の憂なき日なれば、此の日、正月のまつり事を初め給うなり。故に今の世に至りても、十二月十三日を事始とて、掃除などを調え、歳徳神を迎える礼儀をなすなり。故に花は、梅に歯朶を応合て神へ奉るべし。歯朶は冬至の後、嫩葉を生ずるものなり。これに依って若葉と唱え、正月に用いる芽出たき品なり。」と書かれています。

すなわち事始めの花における古来からの伝承とは何かというと、使う材料が定められており「ウメ」に̪「シダ」を用いるという事なのです。

なぜ事始めのお花には「ウメ」と「シダ」を使うのか

「梅」は古来より、寒さが厳しい中にどの花よりも先だって咲く事から百科の魁と呼ばれており、高潔さや高雅な人格を例えるものとして扱われたり、様々なことわざなどに用いられたりして、おめでたい花材として扱われています。

そして「歯朶」は、葉の裏が白い事と葉が対になって生える事から「夫婦ともに白髪の長寿」に例えられると共に、段になって葉が生えて成長する事から一家隆盛の姿を表すおめでたい花材と言われています。

令和2年 事始めのお花

光風流では事始めにおいて、事始めのお花は花手前を行なって生け、対となるお花は家元がその年に合わせて生ける事になっています。

今年の事始めのお花はこんな感じでした。

左側が事始めのお花で、今年はコロナ禍ですので時間を短縮すると共に人の移動を減らすために、花手前という形を取らずに事前にお花を生けておいていただき、生けられた方の紹介をする形にしました。

右側のお花は、私が生けたお花になります。
私のお花は ”現代版” 事始めのお花として毎年生けており、毎年1年を振り返るとともに翌年への希望をお花で生け表すようにしています。

事始めの終わった後は一気に年末モードです

いつもより時間がある年末なので、「ぼちぼちやろう」とか「また明日、また明日。。」な~んて事にならないように、今年残りを一気に駆け抜けて、新しい年に向かって羽ばたいてゆきたいと思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。