事始めの片づけをしながら思った、漆塗りの道具類の手入れ方法について
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
昨日は「事始め」でした。私共光風流でも午前中に事始めを開催し、今年を振り返ると共に来るべき年に向けての計画の発表などを行ないました。
さて事始めを開催した後には当然片づけもしないといけないのですが、そんな中で「塗りの品の扱い方」について今日のブログでは豆知識を紹介したいと思います。
「塗り」の道具は、早めのお手入れが一番効果があります
事始めでは、高職許状の授与や表彰なども行うので「賞状盆」を使います。ちなみに「賞状盆」っていうのは、表彰とかの時に賞状を載せて運ぶのにつかわれている四角くて黒い塗りのお盆のことです。
そして「塗り」とは漆塗り(うるしぬり)の品の事で、漆器(しっき)の事を指します。木や紙に漆(うるし)を重ねて塗ったもので、お椀などの食器や、お盆、文箱など色々な物があります。
そんな「塗り」の道具類はとても美しく風格のある物なのですが、使った後の手入れをちゃんとしておかないとすぐに傷んでしまいます。
そしてこの手入れに関して一番大切なのは、とにかく少しでも早く手入れをするという事です。
漆器の手入れ方法
今回は「賞状盆」を事始めで使いましたので例として上げますと、賞状盆は運ぶ時に素手でさわっています。そして手にはどんなにきれいにしていても手垢や手の油などが有りますので、賞状盆の触ったところにはこの手垢や手油が必ずついています。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、持つところは結構ベタベタついています。
そんななか手垢や手の油が付いたままで賞状盆を放っておくとどうなるかと言うと、その部分にカビが生えてきたり塗り自体が傷んできたりしちゃいます。というのも手垢や手の油はカビの栄養になるので、ふき取らずにそのまま片づけて、一年後に出してみると指の指紋の形にカビが生えていた~なんてことも珍しくありません。
こうなるとカビの根が塗りの中にまで入り込んでいたりするので、カビをふき取ってもカタが残ってしまうようになってしまうのです。
なので「賞状盆」の場合、乾いた柔らかい布で隅々まで拭きます。布で撫ぜればいいという事ではなくて、手の垢や油の付いているところは光に反射させるとすぐにわかりますので、綺麗に跡形なく拭き取ってしまう事が大切です。
金の部分をこするのは絶対に避けてください
あと、写真のように金で紋などが描いてある部分は、絶対にこすっちゃダメですよ!
ここをゴシゴシこすると、金がとれちゃいます。なぜならこの部分は金箔を貼ってあるだけですので、柔らかい布であっても擦ると金箔がだんだん剝がれていってしまいます。
なので金が貼られている部分は、絶対に擦らない様に注意が必要なのです。
最後の最後にやりがちなミス
あと最後にもうひとつポイントがあります。賞状盆を手入れして箱に片づける時に、素手でさわらないように。(笑)
折角拭いたのに、箱にしまうときに素手でさわってたら意味なくなっちゃいますよね。手袋でもするか、もう一枚布を用意して両手に布を持って素手でさわることが無いようにして下さいね。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。