「基本」とはレベルの低いモノではありません。あなたの「変化」「応用」する力を大きく育てる大元になる大切な存在です

こんばんは、内藤正風です。

昨日まで3日間、「展覧会形式の勉強会」を開催しました。その中では「基本」と呼ばれる「型」や、変化応用してゆくことなどについても皆さんに学んでいただきました。

「基本」とか「型」って聞くと、初心者のモノとかレベルが低いとか堅苦しいとか窮屈というような印象を持たれる方が多いかと思うのですが、これは大きな間違いです。
実は上級者と呼ばれるような方ほど「基本」の大切さをよくご存知ですし、しっかりと身につけられているのです。

「型」や「基本」について

いけばなには「型」というものが有ります。
「型」とはすなわち「基本」です。
「基本」と言うのは言いかえれば土台になるものです。

一般に「型」とか「基本」とかって聞くと、先にも書きましたように”堅苦しい”とか”窮屈”とか”決めつけられたもの”と言うイメージをもたれる方が多いのではないかと思います。
しかしこれは大きな間違いなのです

光風流における「型」とか「基本」とは、皆さんの行動や発想やイメージを制限する外枠ではなく、皆さんの行動や発想を豊かにしてくれる「核」となるモノです。
(ただこの「型」とか「基本」についての考え方は流派によって大きく違う場合もあります)

いけばなの練習を始めて最初の段階では、何も解らないので先生の言われる通りに皆さん真似をされます。
「真似る」という言葉を語源にして「学ぶ」と言う言葉が生まれたと言われる説もある様に、真似る事から多くの事を習得する事が出来ます。

「変化」「応用」する楽しみこそが ”いけばな” の醍醐味

そしてある程度お稽古が進み、色々な事を学び覚えた段階に入ると、自分なりの好みや主張が出てきます。
すなわち「変化」や「応用」を楽しむ段階に入るという事です。

昔から日本の芸事には「守破離」と言う教えが有ります。
これは能を確立した世阿弥の言葉ですが、能だけにとどまらずあらゆる事に通じる教えでもあります。

一般に練習と呼ばれるものは、基本を学ぶ、すなわち「守る」ところからスタートします。
そして基本を習得し、それをもとにして環境や素材や季節など様々な事柄に応じて変化応用してゆくステップが「破る」という段階になります。
変化応用が自由に出来る様になり、自分なりの創意工夫が十分に行われ成熟すると、型にとらわれず「離れる」事が出来るようになります。

これは「いけばな」だけの事ではなく、美容師さんや調理師さん、大工さん、しみ抜き屋さん、デザイナー、ヴィジュアルマーチャンダイジング、もうありとあらゆる世界の方に同じことが言えるのではないかと思います。

基本を習得し、変化させる方法を学び、自ら応用する事が出来る力を養う。
すなわち「守」「破」「離」です。

色々な新しい事に挑戦してみたり、自分の好みや主張を形にする事はとても大切です。
だからこそ面白いし成長できるのです。醍醐味という事も出来るでしょう。
どんどんその楽しみを広げて行くべきだと思います。

しかしここで忘れてはいけないのは、「基本」というものはレベルが低いものではないという事です。

「基本」とは全てに関わる絶対に身につけておかなければならない重要な事を言うのです

そもそも基本とはレベルの低い事を「基本」と言われているのではなく、全てに関わる絶対に身につけておかなければならない重要な事が「基本」とされているのだと思います。
すなわち「基本」をどこまでも追い求め追及し自らを高めてゆくことが、同時に”型を破り””型から離れて行く”事に他ならないのです。

自分の好みや感覚やイメージは絶対に大切にしなければいけないです。これはハッキリと言えます。
しかしそれと同じだけ、基本のより高いレベルでの習得を愚直なまでに続ける人にこそ、大きな力が宿ると共に大きな成果が表れるのです。

「型」をしっかりと身につけ、その型を破るからこそ「型破り」が出来るのです。
「型」がしっかりと身についていないのに目先小手先でなんとかしようとするから「形無し」になってしまうのです。

ええ、みんなで一緒に、BIGな型破り人になりましょう!

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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