こんな時だからこそ私たち”いけばな”に携わる人間が果たすべき役割があります。大きな事ではなく身近な人にまず目を向けましょう

こんにちは、内藤正風です。

今日は4月19日です。
っていっても一般的には「うん、そうだね。だから??」で終りですよね、まあ良いところ、私の誕生日~~って方がおられたらラッキーって感じでしょうか。

4月19日は光風流にとって”大切な日”です

実は私ども光風流にとって毎年4月19日は、とても大きな意味のある日なのです。
この4月19日は流祖の命日として、毎年流祖と共にこれまで光風流を支えてきてくださった物故指導者をお祀りする日として「光風忌」という催しを開催しています。

通常でしたら今日は午前中から「光風忌」を開催して、光風流の皆さん方と一緒にお祀りをするのですが、このような事態ですので、”ひっそり”と光風流本部いけばな教室の和室においてお祭りをさせて頂きました。

光風流の皆さんにはご報告方々、もしよければ写真でお参りをして頂く事でお許しいただきたいと思います。

あっ、蝋燭に火をつける前に写真を撮ったので、燭台の火はみなさんの心の中で灯して下さいね〜。

こんな時だからこそ、私たちが果たすべき役割がある

仕事に行けないのに。。。学校に行くことも出来ないのに。。。お出掛けも出来ないのに。。。。そんな時に花を生けるなんて何をのんきな事を言っているの!って思われる方や、仰る方もあるでしょう。
しかし私はこんな時だからこそ、お花に目を向ける気持ちが大切だと思っています。

私は人生の中で大きな天変地異を2度経験しました。それは、阪神淡路大震災と東日本大震災です。
先に起った阪神淡路大震災では、一瞬にして生活が変わりました。電話が通じない、道路や電車の線路が分断されて行動が出来ない、必要な日用品が手に入らない。そうなると最初は衣食住と医療が優先事項でした。

そんな中で避難所や仮説住宅などで何とか生きていくことが出来るようになってくると、ストレスから精神的な変調をきたす人が出始めました。
その時にみんなは気付いたのです。人間は物だけでは生きていくことが出来ない。心の癒しやケアが大切なんだと。
そして東日本大震災の時も、同じようになっていたのです。

こんな時だからこそ、私たち「いけばな」に携わるものが果たすべき役割があると思うのです。ってか、私たちだから果たすことが出来る事と果たすべき役割があると思うのです。

大きな事ではなく身近な人に目を向けましょう

果たすべき役割があるとかっていうと、何か凄く大きな事や大変な事をしないといけないと誤解をされる方もありますが、私はそんなことは決してないと思っています。
ってか逆に小さなことを身近な人達にすることこそが本当の愛ではないかと思っています。

「いけばな」と聞くと、しっかりとした器にちゃんとお花を生けないといけないとかって思いがちですが、そうではありません。
身近な人にお花を1本プレゼントして、グラスで良いので挿してもらって食卓に飾って食事をしてもらうだけでお家の食事がいつもと違ってくると思います。お花1本ならば自分がお花を生けた残りでOKですよね。
あるいは自分が生けたお花をスマホで撮影して、SNSとかでお友達とかの目に触れるようにするのもアリだと思います。

今、自分に出来る事って身の回りにいくらでもあるんです。そんな事をチョットでいいから行動に起こすだけで良いのですから。

植物のパワーは人知を超える

植物の持つ力は偉大です。
私はこの地球上で一番進化しているのは、もしかしたら”植物”ではないかと思っています。

だってちょっと考えてみてくださいね。
植物は枝を切り取っても、切り取った枝は水に浸けているとそのまま生き続けます。枝を切り取った根本ももちろん生き続けています。
切り取った枝を土に挿しておくと根っこが出てそのまま生き続けます。こんなことが出来る存在って他にはないですよね。

人間が指を切り落としたらそんなこと出来ないですよね。切り取った指を水に浸けていたら生き続けていますか?切り取った指を水に浸けていたり土に埋めていたら指から腕や体が出てきて生き続けたりもしないですよね。

だからこそ古来より神仏に花を手向けるというのは、そういう人知を超えた存在だったからこそ、畏敬の念をもち相応しい供物だと考えられてきたからに他ならないのです。

人知を超えた存在である植物を素材にする「いけばな」に携わる私たちが、今何かをしなければならないというのは、必然だと思います。
小さなことで良いんです、みんなで何か行動を起こしましょう。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。