中国での工業高校の視察をして感じた、日本の ”官民一体” とか ”産官一体” って「まだまだ甘いなぁ」ってこと

こんにちは。中国帰りの内藤正風です。

中国には行くたびに色々な ”ビックリ” や ”ホォ~” なことがいつもあるのですが、今回もありました。
それはたぶん私たち日本人のうち多くの人が中国に対してあまり持っていないであろうイメージ ”合理的な考え方” という部分でした。

友人の先生が校長を務めている学校に視察に行ってきました

今回の訪中では色々な目的があったのですが、その中の1つに友人の先生が校長を務める学校に訪問することがありました。

学校のパンフレットの後列の真ん中に移っているのがこの校長の陸紅専先生です。
以前に私が招聘を受けて1年に1度ずつ訪問していた農業学校でも校長先生を務めておられたのですが、約5年くらい前にこの学校に転勤されたのです。
訪中するたびに一緒にごはんを食べたりはしていたのですが、学校を訪問させてもらう機会は無く、今回やっと視察に行くことが叶いました。

ちなみに陸先生の奥様は、いま「いけばな留学」で光風流でお稽古をされている張 艳さんになります。

海南省機電工程学校

この学校は日本風に言うならば「県立の工業高校」という感じの学校になります。

ちなみに学部は4つあり、今回視察させてもらったのは「汽车教学部」です。
「汽车」は日本の漢字では「汽車」という文字になるのですが、中国でいう「汽車」は「自動車」の事をいう言葉なんです。

色んな学部があるのですが、その中には「パティシエ」を育成する学部もあるんですよ。
日本で工業系の高校って言ったら「パティシエ」を育成する学部なんて絶対にありえないですよね、しかしこういうところって中国の緩やかさというか合理性を感じます。

ちなみに私が招聘されて伺っていた農業学校では、ゴルフのキャディを育成する学部とか、レストランのギャルソンを育成するコースとか、おおよそ農業とは関係のない学部が沢山ありました。
そしてもっと面白いのは、世の中で人気が出始めるとそれに関連する学部がすぐに設立されて、人気が下火になるとすぐに別の学部に改変されていくのです。

こういう臨機応変というか時代のニーズに合わせるところってホント合理的だなぁ~って思います。

公立の学校が民間企業と一緒に授業を行なう合理性

今回の視察で改めて感じたのは、「中国の合理的な考え方」という事です。

というのもこの「汽车教学部」は民間の企業の協力を得て行われていて、学校の授業ではこの協力企業から最新の車などの提供を受けて授業が進められているのです。

協力企業としては、ホンダ、トヨタ、BMW、フォルクスワーゲン、GMなどがあり、そのそれぞれの車が教室ごとに数台置かれていて、構造を学んだり修理などを学んでいました。
トヨタの車の中には最新型のハイブリッド車もありましたよ。

そして板金やコーティングなどや、車の営業販売、営業所の運営など、とにかく車に関するすべてを学ぶことが出来るカリキュラムになっていました。
日本の工業高校では車の修理や板金などは学べても、その同じ学校で営業や販売の仕方、会社経営に関することまでなんて授業に絶対にないですよね。

ちなみにこの学部で取り上げる自動車は中国の自動車会社は1社もなく、人気のある外車の修理が出来る知識と技術を身につけて外車のディーラーや外車の修理を行なっている修理工場などに就職をさせているそうで、就職率は98%だそうです。

日本の「官民一体」とか「産官一体」って、まだまだ甘いなぁって思う

日本でも事あるごとに「官民一体」とか「産官一体」って取り上げられています。しかしこういう様子を目の当たりにすると、中国の合理的な考え方って凄いな~って思いますし、日本ももっともっと頑張らないといけないよな~って感じます。

確かにこれまでに書いたように工業高校の自動車の学科が自動車のメーカーと組んでっていうのをそのまま日本で行うのは、色んな問題があるだろうと思います。
既得権益を守ろうとするのもわからないではないですが、今の世の中の移り変わりの速さの中では今あるモノを守ろうとするだけでは、取り残されてしまいかねないのですから。

自国の産業を発展させたり守ったりするためには、もっともっと合理的な考え方をしても良いのではないかと感じる機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。