街の樹木を見ると枝や葉がまずに目につきます。しかし一番大切なのは目立たない根っこや幹なのです。それと同じように物事の本質は隠れたところにあり、それを見逃さないことこそ大切だと思います

こんにちは、内藤正風です。

最近「畳の部屋がなくなった」とか、「床の間が無くなった」とかってよく聞きます。皆さんはいかがですか?
なかにはそういう事から「日本の伝統文化が失われていっている」なんて風なことを言われるかたもあります。
けれどこれって本当に日本の伝統文化が失われていっているのでしょうか?

「畳」や「床の間」の歴史

「床」や「床の間」っていうのは元々は、武家や公家、神社やお寺など限られたところにしかありませんでした。
それが江戸時代に入って太平の世になり、庄屋やお金持ちなどのような ”エエシ” と呼ばれるような家柄のおうちの人たちが、自分のお家に身分の高い人を招く機会が出来てきてきたので、床や床の間を設えるようになったのです。
そしてそれがそのあとしばらく経ってから、一般のお家にも広まっていったのです。

「畳」も、昔むかしは板の間が普通で、畳は身分の高い人が座る場所やごく限られた場所に用いられているだけでした。
テレビの時代劇で江戸時代中期以降の時代背景のドラマなど見ていると、お部屋や廊下に畳が敷き詰めてあるような場面が度々登場します。
しかし戦国時代以前を時代背景としたものになると、畳はお殿様の座られる場所に2~3畳敷いてあるだけでそれ以外の場所は木の床になっています。

戦国時代までのいつ戦が起こるかわからない時代には、いつでも草鞋のまま屋内に上がることが出来るように(すなわち戦時体制ってことですよね)木の床だったのですが、太平の世になり戦が無くなる事によって畳がお城でも敷き詰められるようになったのです。
それが段々と一般のお家の主人の部屋や客間などにも使われるようになり、そしてすべてのお部屋に使われるようになったのです。

なので短い期間(江戸時代以降の約400年くらいというスパン)で見れば、確かに床の間や畳というものが失われていってしまっていると言う事が出来ますが、もっと長い期間(戦国時代以前から)で見ると、昔々の日本のスタンダードであった木の床(フローリングも木の床ですね。。)に戻っていっているっていう見方も出来るのではないかと思うのです。

目の前で繰り広げられている事の大半は、そのものの本質ではない

一つの事柄も見方次第で「失われている」となったり「元に戻っている」となったり、全然違った判断になってきます。

これってすなわち私たちの身近に起こっている事も、見方を変えれば判断が変わってくることが多々あるという事でしょうし、それはすなわち、目の前で繰り広げられている様々な事柄は、実は物事の本質ではなくその本質から派生した事象に過ぎない。。。という事なのだと思います。

こうでなければならない。。とか、昔からこうなっている。。。などのように、固定概念や常識というような自らを縛り付けた観点で物事を見るのではなく、もっと肩の力を抜いて楽しく自由に見てみると、新しい視点や視野が広がってきますし、大元となるものを理解することが出来るようになると思うのです。

物事の本質を見ようとしたり感じようとする

植物では、根っこと幹がその大元になります。
街中で見かける樹木は枝や葉が一番目につきます。しかし実はその存在の根幹になっているのは正しく文字通り”根っこ”や”幹”なのです。すなわち一番目につく枝や葉という存在は、派生したものでしかないのです。

人はついつい、目に見えたり聞こえたりすることに捕らわれてしまいがちです。しかし実は一番に大切な本質となる部分は、目立たないところや隠れたところにあるのです。

自分の視野を狭めたり、行動を制限したり、思考を偏らせたり、これって全て自分の視点によって大きく変わってきます。
もっと自由に色々な視点から物事を見るようにすると、今までに気付かなかった沢山のものが見えてくるようになれると思います。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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