人を笑顔にすることが出来るのが、「いけばな」であり私達「いけばなに携わる者」の役割なのです

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

先日の中華人民共和国(以下中国)で開催した講座を通じて、いけばなは上手だから楽しいのではないという事を改めて痛感したので、今日はそんな事について書きたいと思います。

生徒さんたちの笑顔に囲まれて感じたこと

先週の訪中では、初めて日本のいけばなに触れる皆さんに対する講座と、光風流の中国支部の先生のもとでお稽古をなさっておられる皆さんと一緒に過ごす時間とがあったのですが、その両方に共通して、笑顔にあふれていました。

そんな中で私は改めて、「いけばな」は ”お花を教える” ことや ”お花を綺麗に生ける事” だけに終始するものではないという思いを強くしました。

確かに私が中国で行なってきた事は、お花を教えるという行為です。がしかしその根底はたった1つの事によって成立しているのです。それは「お花を通じて皆さんに笑顔になって頂き、幸せを感じて頂けるようにする」って事です。
その為ならば私は何でもしますし、もっともっと色んな事を皆さんに対してさせていただきたいと思っています。

「いけばな」に唯一必要なのは ”楽しむ心” だけ

日本で私が「いけばな」をしているっという話になると、よく耳にするのは、私は感性が無いから。とか、よくわからない。。とか、苦手。。。という言葉です。
これは私が開催している教室においても同じで、生け方や材料の扱いなどについて「○○○は苦手なので上手に出来ない」って言葉を耳にもします。
一方、先週の中国では、そんな言葉どころか行動を耳にしたり目にしたりしたことすらありませんでした。そこにあったのは、とにかくいけばなを学びたい。いけばなを楽しみたい。という心と、いけばなを通じた笑顔だけでした。

ハッキリ言って「いけばな」を楽しむのに、感性や技術はどちらもも必要ないです。だって感性なんてだんだん磨かれるものですし、そもそも一人一人感性は違います。やってみたことが無ければわからないのが普通ですし、下手で当然です。
先日の中国では、とにかく笑顔、笑顔、笑顔、にあふれていました。初めていけばなを行なう生徒たちの笑顔、そこに居られる大人たちの笑顔、光風流ですでにお稽古をされている皆さん方の笑顔、右を向いても左を向いても笑顔に囲まれた空間と時間だったのです。

上手=楽しいではない

下手(上手ではない)というのは、理解が浅かったり経験が未熟だったりするだけの事です。そして上手でないから楽しさが小さいというのは、大きな間違いだと私は思っています。
「上手=楽しい」という構図が成り立つと仮定したら「下手(上手ではない)=楽しくない」という事になりますが、絶対にそうじゃないですよね。先週の中国でいけばな初体験の方の講座における笑顔にあふれた空間が、それを実証していますし、中国の光風流の師範の下でお稽古をなさっている皆さん方もまだまだお稽古の期間は短いですが、笑顔にあふれていたことからも実証されていると思います。

例を変えて、ゴルフで考えてみましょう。ゴルフはプロじゃないと楽しくないモノでしょうか。そんな事は絶対ないですよね。だってゴルフは下手でも好きでしょ。楽しいでしょ。
プロは上手ですが、上手だからこその苦しみやしんどさも有りますよね。って事は、上手だから楽しい、下手だから楽しくないっていう事ではないという事がお分かりいただけると思います。

人を笑顔にすることが出来る存在、それが私たちです

「いけばな」を行なう本意は、楽しむ事です。なので、どんなに色々な知識や技術を身に付けていて綺麗に生ける事が出来ても、楽しもうとしていなければ絶対に面白くはならないです。

自分で生け上げた喜び。お花を通じて友人と過ごす楽しみ。お花を生けて飾る楽しみ。お花を通じて家族との会話が豊かになる楽しみ。こういう色んな楽しさを感じる事が出来るから、その楽しさをもっと大きくもっと広くもっと深くしたいって思いお稽古に励むのです。

いけばなを学びステップアップやレベルアップしてゆく事の喜び。仲間と同じ趣味を通じて話題を共有できる喜び。仲間や友人に新しい楽しみを紹介したり伝えたりする事が出来る喜び。
そんな中から ”無限の楽しさや喜びを生み出すことが出来る” のが、「いけばな」という存在であり、私たち「いけばなの指導に携わる者」だという事を改めて感じる機会になりました。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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