「恥ずかしい」という事を忘れた日本人
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
私の教室を開催している文化教室のトイレに、少し前からこの様な張り紙がされる様になりました。
いや〜。。。そんな人がいるんですね。
日本にある「恥ずかしい」という考え方
日本には「恥ずかしい」という考え方があります。お箸の持ち方、座り方、言葉遣い、ごみ捨てなど、世の中のありとあらゆるところにこの恥ずかしいという考え方があります。
ちなみにこの恥ずかしいという考え方の根幹は、私は日本の八百万信仰からきていると思っています。つまりすべてのものに精霊が宿るという考え方から、周りに誰もいないのでごみのポイ捨てをしても分からないという事ではなく、周りにいる精霊が見ているよという事であり、人は見ていなくても自分の心は見ているよという事だと思うのです。
なので世界の人が日本で驚く事の1つに、財布を落としても交番などに届けられていて手元に帰ってくることがあるという事があります。日本以外の国では財布を落として帰ってくることはまずあり得ないし、カバンから目を離してもそのままその場所に置いたままになっているという事もないのです。
つまりこれこそが、日本人のもつ「恥ずかしい」という考え方が大きく影響している事柄だと思います。
「恥ずかしい」という考え方が無くなってきている
冒頭に紹介した「洗剤を盗らないでください」という事例もそうですが、いま日本ではこの「恥ずかしい」という考え方がだんだんと薄くなってきているように感じます。
これは私どもの教室でもそうで、お稽古用の器が知らない間に欠けていたりすることがあります。形あるものは必ず壊れます。なので壊したこと自体をとやかく言っているのではありません。
せめて「うっかりと欠けさせてしまいました」と自ら言うくらいはしたらどうなのかと思うのです。
私どもの教室では、プラスチックなどの器は用意せずにあえて陶器や磁器の器を皆さんにお使いいただくようにしています。これは扱いをぞんざいにしたら壊れるので、そのことを通じて道具を丁寧に扱う習慣を身に付けていただきたいという考えからに他なりません。
なのでうっかり手が滑ってというようなことが人間にはあるのですから、教室の器を壊してしまったことについて責める気持ちなんて1mmもありません。もっと言うならば、そうやって器の扱い方を学んでいただくのも私どもの役割だと思っています。
がしかし、欠けたり壊した器をそのままそ~っと戻しておいて黙っているという、そういう方が最近はおられるという事が私は残念でならないのです。
光風流の皆様には ”信頼される人” になっていただきたい
いけばなをしているという事で、お高くとまるつもりなんて私は毛頭ありません。しかし、いけばなは古来より ”華道” としてその歴史を積み重ねてきているのですから、いけばなを学ばれている方や指導されている皆さんが、いやもっとハッキリ言うと ”光風流でいけばなを学ばれている皆様” には、「さすがいけばなをしている人はちょっと違うよね」と良い意味で言ってもらえる存在になっていただきたいと私は思うのです。
誰も見ていなくともお天道様は見ている。誰も見ていなくても自分が自分を見ているという「恥ずかしい」という考え方を、今一度私たちは意識するとともに大切にしないといけないのではないかなと思います。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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