新年恒例の ”歌会始の儀” の平成30年お題「語」を生け、お花で表現しました

こんにちは。内藤正風です。

昨日、皇居において新年恒例の「歌会始の儀」が執り行われました。”歌会”というのは、皇族や貴族等が集い和歌(短歌)を披露しあうもので、その年の一番始めに宮中において行うものを「歌会始の儀」と言います。そしてこの歌会始では前の年に和歌の”題”が示され、全員がこの言葉を織り込んで歌を歌う様になっています。今年平成30年のお題は「語」です。

 

平成三十年 歌会始の儀 御製

昨日催された宮中歌会始で披露された、天皇皇后両陛下の御製は次にご紹介させて頂きます。

天皇陛下
語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く
皇后陛下
語るなく重きを負(お)ひし君が肩に早春の日差し静かにそそぐ

 

和歌は日本文化の縦糸といえます

実は日本文化においてこの”和歌”と言うのは全ての伝統文化に影響を与えている存在で、古来より日本文化の流れをつないできているものと言うことが出来ます。織物にたとえるならば縦糸と言うことが出来るでしょう。

たとえば和歌があったから”ひらがな”が生まれたし、和歌を書く事から”書道”が発展する基になり、文学においても日本の古典文学の最高峰と言われる「源氏物語」の中では数多くの和歌が詠まれていますし、能や歌舞伎、文楽などにも和歌が出てくる演目が沢山あります。茶道の精神を表すのにも和歌が使われていたりもしています。
まあこの話は書き始めると長くなっちゃうので、また改めての機会にさせて頂きますが、とにかく切っても切れない関係でありとても大切な存在であるって事です。

内藤正風が ”いけばな” で現わす、平成30年お題「語」

”いけばな”もこの歌会始のお題をお花を使って生け表すという伝統があり、私ども光風流においても毎年行っており、私もこのお題「語」を生け上げました。

この作品は、語り合っている様子を表現したいと思い、鳥の頭のように見えるストレリチア(極楽鳥花)というお花を一番主になるところに高く扱い向き合って言葉を交わしている様にしました。そして語り合うということはそこから色々なものが生み出されます。たとえば楽しい事やアイデアが生み出されたり、友情や親交が広がっていったりしますので、その様子を他のお花で生け表しました。
いかがでしょうか。

花材・・・ストレリチア(花、葉)、オンシジューム、ベラドンナ、スカシユリ、ナンテン(葉、実)、マツ
花器・・・磁器丸型水盤
敷板・・・組合せ花台

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。