クワ(桑)は、なぜお祝いの席に相応しい材料なのか。陸上自衛隊青野ヶ原駐屯地の新春互礼会のお花を例に解説します

おはようございます。
今日は朝から陸上自衛隊 青野原駐屯地に来ている内藤正風です。

 

昨日のブログをお読みくださった方はご存知かと思いますが、今日は駐屯地の新春互礼会があり出席するために駐屯地に来ています。

私のいけばな作品は単に装飾のために生けているのではありません

この青野ヶ原駐屯地の新春互礼会では、会場玄関で来られたお客様をお迎えする玄関花を毎年生けさせて頂いています。
先日のブログ「いけばな作品は思いや心を表現するものです。だからこそ”ハレの日”には欠かせない存在なのだと思います」でも書かせて頂いたように、私が生けるいけばな作品は単に装飾のために飾っているのではありません。その作品に私の心や意図を込めてその表現として作り上げています。
もちろん今回の作品も私の思いを表現させて頂きました。

平成30年新春互礼会の玄関で皆様をお迎えするお花

平成30年(2018年)新春互礼会 迎え花の説明

毎回新年互礼会の中で作品の説明をさせていただくのですが、今回も式典の中で作品の意図と説明をさせて頂きましたので、このBlogでも紹介させて頂きますね。

 

 

今回の作品の一番主になる形を作っている白い枝は”クワ(桑)”と言う植物です。
この”桑”という植物は、古来より生薬として漢方に用いられ、果実も食べられることから、古来より人の生活に近い所にある植物です。
また”桑”で作られた弓は「桑弓(そうきゅう)」といわれて、男の子が生まれた時に前途の厄を払うため、家の四方に向かって蓬(ヨモギ)で矢をつくって桑弓で射たそうで、厄除けとしての存在でもあります。
陸上自衛隊 青野原駐屯地と隊員やご家族の皆様、そして関係各位の前途の厄を祓い、今年が飛躍の年となる様に鳥を連想させるストレリチア(極楽鳥花)が飛び立とうとしている様に扱いました。

そしてそこに新春を寿ぐおめでたい花材、新物にご加護があるように神の依り代としての「若松」、さらなる成長を願い節を重ねてまっすぐに伸びる「竹」、故事成語に度々登場する「百合」、難を福に転じる「南天」、実りの多い「千両」と、華やかな花材(シンピジューム、グロリオサ)で全体をまとめました。

このお花はこれで片付けるのではなく、これから駐屯地内で大活躍します

今回の新春互礼会でもこのお花の前で記念撮影をしてくださる方も沢山おられて、本当に嬉しかったです。
ちなみにこの作品は駐屯地において後日催される「成人式」のお花としてもこのままお使いいただく事になっていますし、駐屯地の本部の玄関を彩る予定になっていますので、暫くは駐屯地の皆様に愛でて頂き楽しんでいただけるので本当に嬉しいです。

ってことで、二次会も楽しみますよーー!いやこれ三次会だったーー(笑)

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。