選抜作家いけばな展(2024)に出展した、内藤正風の作品を動画でお楽しみください
ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。
さて今日のブログでは、6月15日(土)~16日(日)の両日、兵庫県公館において開催した「選抜作家いけばな展」で展示した私の作品を解説とともに動画で紹介させて頂きます。
今回の作品作りのスタートは「光の敷板」からはじまりました
今回の私の作品は、「光の敷板」というイメージから作品の準備がスタートしました。
兵庫県公館は兵庫県の迎賓館としての役割があり、大会議室はシャンデリアが設えとして設けられています。そしてこのシャンデリアは沢山の電球によって構成されています。
そんな会場で行なう選抜作家いけばな展ですが、6年か7年。。いやもっと前かな。。。に開催された時の回にこの器を用いたことがあるのですが、その時には今回とはまるっきり違った作品だったのですが、生け込みのときにこの器に水を張ると、花席台にシャンデリアの光を受けて奇麗な反射の波紋が浮かび上がったのです。
その時に、「あ~この光が反射した波紋を生かした作品をいつかしたいなぁ」と思っていたのですが、この度それを実際に行ったというわけなのです。
ちなみに私共光風流では、器と生けた花だけではなく、器の下に敷く「敷板」までトータルでのバランスを重要視します。なので日本全国に沢山ある流派の中でも唯一光風流だけが用いる、色々な形や様々な色のバリエーションがある「組合せ花台」というものを使いますので、私共の流派の特徴の一つといえます。
なのでこの光の波紋を、敷板の役割を果たすことが出来るようにしたいなぁと思ったのです。
光を大切にしながらの作品作り
この光の波紋が花席台に映るようにするためには、欠かせない一つの条件があります。それは、「器の口から光が水中に入るようにしないといけない」という事です。
器の横からの光は水の中にまで入ってきません。多分ガラスによって反射してしまっているのだと思います。なので器の口の部分から光が入ってくるようにしなければ、反射による波紋が生まれないのです。したがって今回の作品は、器の口を出来る限り空けるようにしなければならないという事です。
とはいえ器の口を開けるという事は、挿すお花や材料の分量が少なくなるという事ですので、減らしすぎると貧相な作品になってしまいますし、かといって沢山生けてしまって口がお花でいっぱいになってしまうと水の反射がなくなってしまいますので、そのバランスは非常にシビアな感覚を求められました。
人の視線も計算しながら
そしてこの作品作りにはもう一つ考えなければならない点がありました。それは見に来られた方の視点です。
最初にも書きましたようにこの度の作品のスタートは、光の波紋による敷板から始まっています。なので見に来られた方の視点を花席台に近いところに向ける必要があるのです。なので今回の作品は、高さを出来るだけ低く抑えるようにする必要がありました。
作品の高さがあると、人の視線は上の方に向かうようになります。そうなると花席台にまで意識が向かなくなってしまいますので、作品の高さを抑えた構成にすることによって見に来られた方の視線が自然に下向き加減になるようにしたのです。
事前の試行錯誤が形になった作品をご覧ください
今回の作品は、ものすごい沢山の試行錯誤を行いました。とはいえ実際に生けたのではなく、頭の中でのイメージやデッサンを数限りなく行いました。
だってこの光の波紋は、その現場に行かなければどうなるのかわからないのですから、生け込みに行くときにはAパターンBパターンみたいにして頭の中には少なくとも30くらいの構想とそれに対応できる花材を準備してゆきました。ちなみに最悪のパターンも一つ用意していっていました。それは花席台に器を置いて水を入れたけれど光の波紋が出なかったという、ものです。
いや~、生け込み当日はシビレましたよ。花席台とシャンデリアの位置関係によって、器を置いて水を入れるまで光の波紋が出るかどうかわからない、そして光の波紋が出てもどのくらいの数出るかもわからないのですから。
会場で器を置いて水を入れるまでのドキドキ感、そして水を器に入れて光の波紋が沢山出てくれた時の「やった!!」感、ほんと久しぶりにドキドキの時間でした。
そんな中で作り上げた作品ですが、動画で撮影しておりますので、お楽しみいただければ嬉しいです。
音が出ますのでボリュームにはご注意くださいね。
作品データ
作者・・・光風流家元 内藤正風
花材・・・スモークツリー、着色ミツマタ、ヘリコニア、バラ、アーテチョーク、ナツハゼ
花器・・・ガラス製球体壺
内藤正風PROFILE
-
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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