ヒガンバナは何故お家に持って帰ると怒られたのか、その「表」の理由と「裏」の理由
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
朝晩は大分過ごしやすくなりましたが、まだまだお昼間は暑さ全開の毎日が続いています。とはいえ昔からの「暑さ寒さも彼岸まで」って言う言葉があるくらいですので、そろそろ暑さもましになるのかなと思っています。
彼岸といえばヒガンバナ
さて「彼岸」といえば秋の彼岸にはヒガンバナが一斉に咲き誇ります。この赤色ってとても綺麗ですし凄く印象的な色ですよね。
光風流本部いけばな教室の周辺でも、彼岸の頃に一斉に咲き誇り、彼岸の終わりとともに姿を消します。
ヒガンバナを持って帰って怒られた経験ありませんか
ところで子供の頃にこのヒガンバナを切り取り、お家に持って帰って、ご両親や爺ちゃん婆ちゃんから叱られた経験をもたれている方も多いことと思います。地域によっては ”ヒガンバナを家に持ち帰ると火事になる” とか、色々な理由が言われていますよね。
けれど子供ながらに「お花持って帰って家が火事になっちゃうってそれってほんまかぁ~?」って思われていた人も多いと思います。私もその1人です(笑)。
ちなみにヒガンバナを持ち帰ってはいけない理由って、チャンと根拠があるのです。
ヒガンバナってどんなところでよく見かけますか?田んぼのあぜ道や、お墓が圧倒的に多いですよね。実はこのヒガンバナって勝手に生えているのではなく、元々は人間が植えたものが始まりなんです。
ヒガンバナは球根の植物なのですが、この球根に毒の成分が含まれています。ちなみに毒って言っても、チョット触れただけで死んでしまうようなそんな猛毒ではありませんが、多量に接種すると危ない毒というものになります。
なので動物は、こういう毒の様な命に係わる類いのものに対してはとても敏感なので、ヒガンバナの球根を掘り返したり食べたりしないのです。そこで昔の人々は動物に掘り返されると困るような、田んぼの畔(あぜ)やお墓に、このヒガンバナを植えたのです。
田んぼの畔(あぜ)は、モグラに穴を一杯掘られてしまっては崩れやすくなっちゃいます。お墓は、昔は埋葬するときに土葬が普通でしたから、土に埋めた遺体をすぐに掘り返されては困ります。
なので、こういうところにヒガンバナを植えて予防としていたので、子供がお花が綺麗だからと言って持って帰ってこられると効果が無くなってしまうからなのです。
もちろん子供が誤って口に入れるような事が無い様にと言う気遣いもあったのは言うまでもありません。
ヒガンバナを持ち帰ってはいけない「裏」理由
実はもう一つヒガンバナを持ち帰ってはいけない理由があるんです。
それは。。。食べる為なんです。
毒なのに食べるの!?って思われるでしょうね。確かにそのまま食べたら毒なんですが、すりつぶして充分に水でさらして毒抜きをすると食べる事が出来るようになるのです。
昔は天候によって飢饉が起こり食べるものが無くなってしまっていました。そんな時に食料にする事が出来るように非常時の備えとしての役割も兼ねて植えられていたのです。
そうなんです、これがヒガンバナを持ち帰ってはいけない裏の理由なのです。
お腹を空かせた子供たちが、”水でさらしたら食べ物になる” なんて聞いたら食べてしまいかねないですからね。
だからそうならないようにするために、ヒガンバナを家に持ち帰ると火事になるとか色々な理由をつけて子供に持ち帰らないように戒めていたってことなんですね~。
ヒガンバナを持ち帰るとなぜ親に叱られたのか。お判りいただけましたでしょうか。
民間伝承による薬効
さてそんな彼岸花ですが、実は民間伝承による薬効があるという事を、いつもお世話になっている奈良の先輩「菊岡漢方薬局」の菊岡泰政さんから、10年位前に漢方としての彼岸花の薬効について私のブログにコメントをいただき教えて頂きましたので以下にご紹介させていただきます。
腹水や胸水、関節の水、むくみなどで、水を下ろすのに使います。彼岸花の根(球根)と唐胡麻(ヒマの種)をすり下ろして、土踏まずに貼ります。民間伝承ですが、今も結構よく買いに来られます。
特に、癌での胸水や腹水に最後の砦です。別々に、彼岸花の根500gと唐胡麻500gで、売っています。ご家庭で、皮をむいてすり下ろして、混ぜて、ガーゼに乗せて、両足の土踏まずに貼ります。
しゃっくりの柿蔕湯(柿のヘタ・丁子・生姜)とともに、お医者さんから聞いて、買いに来る方も結構いらっしゃいます。
って事でとりあえずはこれらのヒガンバナのネタを、今夜や明日の飲み会や家族の食事の時の話のネタにお役立ていただければ幸いです。
内藤正風PROFILE
-
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。