“いけばな” も “人生” も “お仕事” も失敗しながら学んでゆくものであり、失敗を恐れず失敗を許せる人であり組織でありたいと思います

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

今日は朝から出稽古に行ってきました。そしてこの後は光風流カレンダの作品写真撮影に出かけるので、その合間にブログを書いています。

いけばなは失敗しながら学んでゆくもの

昨日、光風流の先生とお話をしている中で、「指導者が日頃のお稽古の中で生徒さんに対して行うべきことの1つに、失敗しながら学ぶ事が出来るようにしてあげること」という話題になりました。
いけばなの先生には大きく分けると二通りの指導スタイルがあります。1つは、生徒さんが失敗をする前に先生が手を出して手伝い、生徒さんが失敗をしないようにするスタイル、そしてもう1つは、生徒さんが取り返しのつく範囲で失敗させてあげることが出来るように見守るスタイルです。
ちなみに私は、後者の方が生徒さんの力が育つと思っています。

一例をあげると、いけばなには ”矯める(ためる)”という技術があります。「矯める」とは正しく治すという意味の言葉で、形の悪い枝(葉、茎)を矯めて修正したり、枝(葉、茎)を矯めて希望の形を作りあげたりと、お花を生けるときにはあらゆる場面でこの ”矯める” という技術が必要になります。

そんな矯めるという技術ですが、ある程度の慣れが必要です。お稽古を初めてまだ間が無く慣れていない人にとっては、最初は力加減が解らなくて枝を折ってしまったりします。つまり力が強すぎると枝が折れちゃうし、逆に力が弱すぎると癖がつかずに矯める事が出来ないのです。
意識を集中して枝の声を手の中で聴きながら矯めてゆくのですが、この力加減と言うのは数値に表したりする事が出来るものではなく、経験によって身に付けてゆく必要があります。すなわち失敗をして覚えてゆくものだという事なのです。

いけばなも、人生も、お仕事も、失敗しながら学んでゆく

「失敗しながら学んでゆく」というのは、私達の日常も同じだと思います。生まれてすぐから人生の達人なんていません。仕事を始めてすぐからその仕事の達人なんて人もいません。みんなコケたり頭を打ったりしながら経験を積みノウハウを身に着けてゆくのです。
皆さん最初から歩けましたか?最初はハイハイから始まり、つかまり立ちをして、そのあとに歩けるようになりましたよね。ハイハイも最初は思うように進めなかったでしょうし、つかまり立ちも思うように出来なかったと思います。しかし何度も何度も失敗しながら歩けるようになったんですよね。

失敗をしない様にって萎縮してしまっている人や、失敗するような事を避けている人がいますが、これって実は大きな間違いだと思うのです。だって出来ない事に挑戦しているんですから、失敗するのは当たり前なんです。
失敗をしたら、何がいけなかったのかを考え、改善すべき点の仮説を立て、その検証を行う。これをとにかく繰り返し続けてゆけばいいんです。だって失敗こそが人を大きく育ててくれるとともに魅力的にしてくれるのですから。

失敗体験が、大きな学びや人としての成長を促してくれる

私は、1つの成功体験から得られるものよりも、1つの失敗から得る学びの方が何倍も大きいと思っています。だからこそ私は、お稽古では命取りにならないように見守りながら失敗をさせてあげられる環境を作っていますし、光風流自体も失敗を恐れないとともに失敗を許す組織でありたいと思っています。

どんどんチャレンジをする。その中でドンドン失敗をする。そして様々な学びを得る事が出来る場であり教室であり流派である。そして自らが失敗体験を沢山しているからこそ人の失敗を許すことが出来るようになるし、失敗したときに色んな人に助けられてきているからこそ、失敗した人をサポートしてあげようと思う事が出来るようになるのだとも思います。

とはいえ同じ失敗を無意味に繰り返すのは、ただの無能でしかないので、そうならないようにしないといけないですけれどね。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。