名選手は名監督にあらずという言葉があるように、沢山の失敗を経験している人こそ良い指導者になることができると私は思います

ごきげんよう、こんにちは、そしてこんばんは、内藤正風です。

今日は光風流本部いけばな教室でのお稽古日で、朝から教室を開催しています。が、体調不良で急遽お休みされる事になった方もあり、空き時間にブログをコチョコチョッと書いております。

私が思う、良い指導者とは

今日のブログは、そんな教室に午前中にお越しになられた生徒さんとお話した、「出来の悪かった人の方が良い指導者になる事が出来る」という事について書きたいと思います。

これは私のこれまでの経験からの持論なのですが、人は何かを学び習得する過程において、すぐに習得して出来るようになる方と、色々な失敗をしながら最終的に習得をされる方の二通りの方がおられます。
そしてその両者が指導者という立場になった時に、習得するまでに沢山の失敗を経験してきている人のほうが優れた指導者になる事が出来ると私は思っています。

出来の悪かった人のほうが良い指導者になると思う理由

なぜそんな風に考えているかというと2つの理由があります。

ひとつ目の理由は、自分自身が周りの人よりも覚えが悪かったり理解が遅かった方は、何故理解が遅かったのか覚える事が出来なかったのかということを自分の体験を通じてチャンとわかっておられます。
すなわち生徒さんが出来なくて試行錯誤をしておられるときに、自分の経験をもとにして適切なアドバイスをする事が出来るという事です。

そしてもう1つ大切なポイントが、出来ない人や失敗した人の気持ちが理解できるという事です。
一部には、見たらすぐに出来るし聞いたらすぐに出来るという人もおられますが、大半の人は見て聞いて繰り返し練習することで学び覚えてゆかれます。ということは、世の中のほとんどの人は出来ない時のしんどさや失敗した時の恥ずかしさなどを感じているのです。そういう時に出来ないときや失敗した人の気持ちが理解できているという事が、指導者には一番求められる部分だと私は思うのです。

何でも出来る人のことを良い指導者とは言いません

「指導者」と聞くと何でもできる人、一定の成果を残せる人、何でも知っている人、という風に考えがちです。
しかしいま仮にそうであったとしても、生まれた時から全てが出来たりこなせたわけではなく、出来ない事だらけだった中から1つ1つマスターして今があるのです。
だからこそ出来ない人に適切なアドバイスをしてさし上ある事が出来たり、失敗した人に「失敗は経験と言う積み木を積み上げている事なのでドンドン失敗しなさい」と言ってあげサポートしてあげる事が出来るのだと思います。そう、これこそが指導者に一番重要な事だと私は思っています。

たとえ話として有名な言葉に、「野球の名選手は名監督にあらず」という言葉があります。名選手は自分なりの感性や感覚で色々なことを習得してきているので、その感性や感覚、そして独自の論理をほかの選手に当てはめても、理解ができなかったり当てはまらなかったりします。なのにその人が監督になって自分なりの感性や感覚で選手を指導しても、理解できる選手は少ないのです。

”何でも知っている” とか、”何でもできる” は言うまでもなく価値です。しかしそれ以上に生徒さんの気持ちになる事が出来たり、生徒さんの立場でモノを見ることが出来るということこそが、指導する立場の人にはもっとも大切な事に他なりません。
なので光風流では、自分がお稽古を始めた頃に上達の遅かった人や出来の悪かった人にこそ、指導者になっていただきたいと思いますし、そういう方ほどきっと良い指導者としてご活躍頂くことが出来ると私は思っています。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。