1月7日に七草粥を食べるのは単に疲れた胃袋を休ませる為ではなく、ちゃんとした理由があるのを ”いけばな” を学べば知ることが出来ます

こんばんは、内藤正風です。

今日は神戸で朝から午前中に会議が2つ、そしてその後そのまま光風流本部いけばな教室に戻ってきて会議を夜まで行ない、そのあとブログを書いています。
今日は何かムッチャ濃い1日で、あっという間に時間が過ぎています。

明日は ”七草粥” を食べる日です

明日1月7日は、七草粥(ななくさがゆ)を食べる日になります。

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ちなみに七草とは、芹(せり)・薺(なずな)・御形(ごぎょう)・繁縷(はこべら)・仏の座(ほとけのざ)・菘(すずな)・蘿蔔(すずしろ)の7つのことを言うのですが、これらの生えてる姿を生で見たら「ただの草」です。(笑)
たぶんこんなの道端で見かけても食べようだなんて絶対に思わないと思います。だってどう贔屓目に見ても、ただの雑草ですから。

ちなみに今では、綺麗にしてパックにワンセットに詰められたものがスーパーなどで売られていて、簡単に手に入れる事が出来るようになっています。

 

しかも単なる七草の詰め合わせではなく、フリーズドライの七草なのです。

 

昔の人は野に出かけて七草を摘んでこられていたのに、今ではお粥さんを炊いてこのフリーズドライ七草を混ぜれば七草粥が出来ちゃうんです。

1月7日に、なぜ七草粥を食べるのか

1月7日は「人日(じんじつ)」と言う日になります。これは五節句と言う1年の中で節目になる5つの日(節句)があり、その中の1つになります。
ちなみにこの五節句には、人日・上巳(じょうし)・端午(たんご)・七夕(たなばた)・重陽(ちょうよう)という5つがあります。

この「人日」というのは、元々は古代中国で行われていた行事から来ています。
昔々の中国では、その年の吉凶を正月に占っていました。正月1日は鶏、2日は狗(いぬ)、3日に羊(やぎ)、4日に猪(ブタ)、5日に牛、6日に馬、7日に人、8日に穀をそれぞれ占ったといわれており、その中で人を占う日だから「人日」として1月7日は特別な日とされたのです。

しかしこの占いって、それぞれの当日の晴れや雨という天候でその吉凶を占ったというのですから、大らかと言うか、のんびりしているというか、どうでもよいというか。。。。いま皆さんがされているようなガチの占いではなかったようです。(笑)

そして、この”人日”に、七草の入ったお粥を食べると「邪気」が祓われて万病を除き、今年1年間を無事に過ごす事が出来ると言われていたそうで、その風習が現代にも続いているのです。

実は”いけばな”にも「七草の花」の伝承があります

光風流ではこの七草の日に生けるお花として、梅・柳・椿に”ナズナ”か”若菜の葉”をあしらって生ける伝承があります。

「梅」は百花の魁と言われるめでたい材料です。「柳」は魔除けとしての力を持ち、お正月の柳箸にもされる材料です。
「椿」は嫌われる方がありますが、古来おめでたい材料なんです。その理由として、椿は材木、葉っぱ、焼いた灰や炭、実を絞った油と、その全てが生活に役立つものであり、長寿のお祝いの古希や喜寿、傘寿、米寿などの賀寿を総称して「椿寿(ちんじゅ)」と呼ぶ事からもおめでたい材料だという事をお解りいただけるのではないかと思います。

そんなこれらのおめでたい材料に、七草を象徴する「ナズナ」か「若菜」の葉をあしらう事で、七草の花になります。
なので七草の花は、「邪気」を祓い万病を除く魔除けとしての意味合いのお花であるという事がお分かりいただけるのではないかと思います。

七草粥が本来持つの役割は胃袋やすめではなく、家族の幸せを祈るものなのです

七草粥というと、お正月の暴飲暴食で疲れた胃袋を癒すために消化の良いお粥さんに野菜をたっぷり入れたヘルシーな食べ物と思われがちですが、そのそもそもの始まりは、家族の幸せを願い魔除けとして食べていた食事だったという事なのです。

明日は是非スーパーに行って七草を買ってきて、七草粥を作って家族皆さんで魔除けとして召し上がってみてはいかがでしょうか。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。