いけばな展って「お祭り」と同じで、みんなで一緒に楽しむ機会です

ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。

いよいよ今年の「光風流いけばな展」まであと10日を切りました。
作品展示をする皆さんの思いがこもり試行錯誤した作品を見ることができると思うと、今からワクワクしています。

いけばな展って「お祭り」です

私はいけばな展は「お祭り」だと思っています。それは、作品を作り展示する人、いけばな展を見に来てくださる方、いけばな展を運営しているもの、それぞれがそれぞれの楽しみを満喫する。そういう機会だと思うからです。
とはいえこんな風に申し上げても、いけばなをなさっておられない方には伝わりにくい部分もあるでしょうから、地域のお祭りを例に挙げながらお話してゆきたいと思います。

お祭りは、大きく分けると三つの立場が関わりあう事で成立していると思います。それは、①お祭りを運営する人。②お祭りに参加する人。③お祭りを見に行く人。です。

運営に携わるのは、他の人が出来ない体験を通じて自己成長する機会なのです

①のお祭りを運営する人は、決まった日程にお祭りを滞りなく開催することが出来るように準備を行ないます。と、このように言うと決まった通りにすればいいだけやんかと思われるかもしれませんが、けっしてそうではありません。
古くからの決まり、すなわち伝承をしっかりと学び、なぜそのようになっているのかという本質を知らなければなりません。そしてその上に、時代はどんどん移り変わっているのですから、世のなかの変化に合わせて変えるべきは変え、変えてはならないことは守り伝承するという事を行なわなければなりません。

そのうえで、地域における各種団体が連携してお祭りの各部を分担し、そのことによって地域のつながりを深めるという役割も担っていると思います。
もちろん担当される方にとっては、これまでに知らなかったことを学んだり経験する機会にもなりますし、皆さんのお世話をさせて頂くという事は「どうすれば皆さんが喜んでくださるか」を意識する機会にもなりますので、自己成長の機会に他なりません。
すなわちこれが「いけばな展を運営している人」に他ならないのです。

お祭りに参加する人は、舞台でいう演者です

②のお祭りに参加する人は、その演者だという事ができるでしょう。太鼓をたたく人、笛を吹く人、舞を舞う人、屋台やみこしを担ぐ人、そのお祭りに参加している誰かが欠けても成立しなくなります。
そして年に一度しかないお祭りだからとか、プロじゃないからと言って、笛や太鼓や舞の練習をろくにせずに変な音がしたりテンポがおかしかったり変な踊りだったらどうでしょう。お祭り自体の価値を下げてしまいますし、みんなが盛り上がっていこう!という気持ちにもなることが出来なくなってしまいますよね。
神輿や屋台を担ぐ人が練習もせずに祭りに臨んでは、確実に怪我人や死人を出してしまいかねなくなります。

私はお祭りに参加する人は、舞台でいう演者にあたると思うのです。舞台を見に行って、その演者が ”忙しかったから” とか ”疲れていたから” とか、理由はどうであれグダグダなお芝居を見せられたら幻滅しますよね。あるいは大道具の出し入れのタイミングや照明のタイミングなどを間違えるとけが人を出すことにもなりかねません。

つまり祭りに参加する人は、出来る限りの準備をすることこそが、お祭りを盛り上げることになるし事故やけがを防ぐ唯一の方法になるという事なのです。すなわちこれが「いけばな展に作品を展示する人」だという事です。

お祭りは見に来てくださる方が居られるから盛り上がるのです

③のお祭りを見に行く人は、まさに観客です。どんなに良いお芝居をしていても観客がいなかったり少なかったりしたら、絶対に盛り上がりません。これはお祭りだけではなく舞台やスポーツでも同じです。コロナ禍のときに無観客のお祭りや神事だけのお祭りがありました。舞台や野球やサッカーなども無観客で開催されていたのは皆さんご存じの通りかと思います。本当に盛り上がらなかったですよね。

サッカーに「サポーターは12人目のメンバー」という言葉があるように、良い舞台や良い試合を作り出す原動力は観客の力があるからこそなのです。
これは「いけばなを見に来てくださる方」にほかならず、良いいけばな展を作り出すためには、見に来てくださる方お一人お一人の行動力が不可欠なのです。

みんなでお祭りを楽しみたいと思います

今年の光風流のお祭りである「光風流いけばな展」。今回はハロウィンをいけばな的に解釈し、そしていけばな的に表現するとどうなるかというテーマ「華・トリック・ストリート」のもと開催いたします。
展示する作品だけではなく、会場での作品を展示している人とお越しくださった方との交流や会話、いけばな展の会場にお越しいただく道中での観光や食事、ありとあらゆるものを楽しんでしまうのが「いけばな展」だと私は考えています。

作品を作り展示する人、いけばな展を見に来てくださる方、いけばな展を運営している者、全ての人にとって楽しいお祭りにできればと思っています。
皆様どうぞよろしくお願いいたします。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。

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