歌手の藤野ひろ子さんの即興とアドリブから芸能人の凄さを感じると共に、「いけばな」との共通点が見えた瞬間
こんばんは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。
ブログでご紹介させて頂きたいネタが沢山あるのですが、書くよりもネタの方が多すぎて全然追いつかず、書きたいと思っていたネタが溜まりすぎて、以前のものをどんどん忘れていっちゃっています。
そんな中、今日講習会の真っ最中に”フッ”っと忘れちゃっていたネタを思い出しました。
4月3日に、歌手の藤野ひろ子さんのイベントにゲストとしてお呼び頂きました。
兵庫県の加西市と小野市をつなぐ北条鉄道と言う列車があるのですが、その列車を借り切ってのイベントです。
「さくらの花と歌とあなたをのせて」というタイトルの通り、桜を使って疾走している列車の中でデモンストレーションをさせて頂いたり、トークをさせて頂いたりしました。
で、今日書きたいのは私の事ではなく、藤野ひろ子さんと一緒にイベントをさせて頂いて「やっぱプロは凄いなぁ~!!」って思った事についてです。
プロの現場力は凄い!!!
当日は列車の貸切と言うロケーションなので、準備やリハーサルを朝早くから行うとか前日から事前に行っておくって事ができません。
なので当日イベントの約一時間前から荷物の搬入や準備や藤野さんとの最終打ち合わせ等を行いました。
藤野さんは、時間の流れでスケジュールを組んで一覧表にしてお持ちになられていました。
電車が走り出したら、まず〇〇をして、そのあとに〇〇という曲を一曲歌って・・・
みたいな感じで流れを聞かせて頂いて打合せをさせて頂きました。
その中には、私のデモンストレーションのタイミングや時間、トークの流れなども全部入っています。
準備や打ち合わせをしている時の一時間なんて”あっ”という間に経っちゃいますよね。
そんなこんなしている間に列車が車庫から出てホームに入ってお客様の乗車が始まり、いよいよスタートです。
列車がスタートして藤野さんのトークから一曲目の歌に入り、歌にあわせて北条鉄道の歴史とかをパネルで皆さんにご覧いただきながら一曲目が終わったら、もうスケジュールが押しちゃっているんです
(^^;
ええぇぇっーーー!みたいな。
例えれば、NHKの紅白歌合戦で、オープニングがスタートした瞬間に巻きが入っているみたいなそんな状況です(笑)
余計わかりにくいですか??
時間が押す × 歌 × お花 = 即興力
けれどこっからの藤野さんが凄かったんです。
通過してゆく駅と時計を見ながら時間を読んで、乗車してくださっている皆様のノリとか反応を見ながら、歌をカットしてトークにされたり、歌われる曲の変更を進行中に指示してその場を盛り上げて行かれたり、もう即興とアドリブの一時間!!!
私のデモンストレーションも勿論行いましたよ!
音楽は「遠音(TONE)」というグループの「春」と言う曲を藤野さんが選んでくださいました。(遠音(TONEのホームページ))
時間が限られているので、アシスタントに材料出しをしてもらいながら
デモンストレーションを行いました。
ところで、こう言うデモンストレーションで一番大事なのは何かわかりますか?
「曲に合わせる」と言う事です。
音楽には始まりと終わりがあります。
なので音楽の始まりと共に生け始めて、音楽の終了と同時に生け終わる。これは絶対に外せません。
音楽は終わっているのに、まだ生けているだなんて、超かっこ悪いじゃないですか。
なので私はデモンストレーションの前日まで、この曲を時間の許す限り聞き続けました。
もう体の中に叩き込むというか、刷り込むというかそのくらい聞きましたよ(笑)。
けれどそのおかげでデモンストレーションしてる最中は、曲の流れであとどのくらいっていうのを自然に感じる事が出来たので、凄く気分的に楽でしたし、デモンストレーション自体を楽しむ事が出来ました。
時間は5分半ほどの曲でしたので、お花を生けるのにゆったりとしていられる状態ではありませんが、その時間内に完成出来ない時間でもありません。
このギリギリ感と言うか、スピード感と言うか、皆さんの視線と言うか、もうすべてが楽しくてテンションむっちゃ上がりました!!
デモンストレーションを終えてインカメ
何かアドレナリンとか出まくりでテンション高めの顔してます(笑)
藤野ひろ子さんの即興とアドリブから芸能人の凄さを感じると共に、「いけばな」との共通点が見えた瞬間
この即応力こそが、芸能界の第一線を長年突っ走ってこられた真骨頂なんだなぁって思いながら間近に見るとともに、ビンビン伝わってくるものがありました。
歌を歌われる舞台って生ものです。
その日によってお越しくださっているお客様の反応が違って当たり前です。
キチッとベースは作り上げて置いて、その上でその場その場にあわせて無限に形を変えてゆく。
っていうか、形を変える柔軟性やそれに対応できる実力を備えていて、アクシデントを楽しんでいるっていう感じに見えてしまうくらい自由なんです。
これって私がしている「いけばな」も全く同じです。
私達は植物を素材にしています。
植物は自然のものですから、2本として同じ枝振りはありません。
毎回毎回が”はじめまして!!”って感じです。
事前に十分にイメージをしたり構想をしたりして作品作りに臨みます。
しかしそこにある材料は、ほとんどの場合、イメージした枝振りや咲き具合とは違うものが手元に届いています。
ってことは、準備は万端整えていても、そこには必ず臨機応変な対応をしなければならない場があるのです。
自分の経験や知識や技術というものを沢山持っていればいるほど、この即応力は高まりますし、アクシデントまでを楽しみに替えてしまう事が出来るほどのパワーに繋がります。
臨機応変な対応や、その場で思いついてアドリブをしたり、もう自由気ままです。
知らない人から見たら、もっとまじめにやりなさい!!って注意されちゃうかもしれないくらいになります。
けれどこんな状態になった時にこそ、日頃を超えたアイデアが湧いたり、パフォーマンスが発揮できるのです。
藤野さんのイベント「さくらの花と歌とあなたをのせて」にゲスト出演させて頂いて、そんな事を改めて感じ、もっともっと私もパワーアップするぞ~って感じた1日になりました。
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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