いけばな展の「生け込み」って ”命” に満ち溢れ光り輝いている場を舞台にした ”即興” なのです
こんにちは。
いけばなの光風流家元 内藤正風です。
いよいよ今日は、明日から始まる「いけばな神戸展」前期の生け込みです。
i生け込みに出発する前にBlogを書いています。
私には、毎日生きている中で大好きな時間がいくつかあるのですが、その中でもTOP3に入るのがいけばな展の生け込みです。
「生け込み」って”命”に満ち溢れて光り輝いているんです。
展覧会に展示するいけばなの作品を作る「生け込み」ってものすごい熱気です。
作品を展示する皆さんの事を「出瓶者」と言うのですが、この出瓶者とお手伝いの方とで生け込みの時の会場の中はとても沢山の人で賑わいます。
そしてこの多くの人が全員一つの目的のためにまっすぐ向かってゆきます。
その目的とは「展示する作品を自分の持てる力を出し切って作り上げる」という一点です。
その会場にいる全員が、それぞれに違う作業をしているのですが、同じ目標に向かって一直線に進んでいるって凄くないですか。
横にいてもこの気持ちがビンビン伝わってくるくらいに皆さんまっすぐに作品と向き合われています。
横から話しかけられても気づかないくらいに入っている場合もあります。
そう言う方達が200人も300人もいる空間の空気って、モノッスゴい空気感で満たされているんです。
皆さんの思いや熱気で、空気がキラキラしているようにいつも感じます。
人が輝き、植物が輝き、空気感が輝く機会、それが「生け込み」なんです。
いけばなの作品作りは、用意万端整えたうえでの”即興”です。
いけばなって植物という自然のものを素材にして作品を作り上げます。
植物には同じ枝振りや咲き加減のものは2つとしてありません。
全てがその一本一輪でありオンリーワンなのです。
こう言う中で作品を作り上げてゆきますから、自分の思った通りの枝振りや作加減の材料なんてまずありません。
予想と違う枝振りの材料、予想と違う咲き加減のお花が手元に届くのが普通なのです。
作品作りはイメージから始まります。
こんな器を使おう、こんな材料を使おう、こんな形にしよう、どんな作品であれまずイメージすることから始まります。
そしてそのイメージした作品を作るために必要な器を用意したり材料を発注したりします。
この段階から生け込みの瞬間まで、色んなことを考えたり準備したりします。
もしかしたら使おうと思っている剣山では小さかったら困るので、一応念のために一回り大きな剣山も持参しておこうとか、枝を固定するのにこの道具があった方が役立つかもしれないとか、もう考えうる限りの準備をしておきます。
そして生け込み当日を迎えるのですが、その時には予想を超える材料との出会いが有ります。
予想したものと全然枝振りが違う場合もあります。
予想以上に良い枝振りの場合もあります。
希望した色のお花が無くて、違う色のお花が届く場合もあります。
満開が欲しかったのに蕾のお花が来る場合もありますし、その反対もあります。
生け込みで、予想した通りになる事なんてまずありません。
なので生け込みはその場での即興の力が試される場でもあります。
この写真は先日の北条鉄道のイベントでのデモンストレーションです
即興っていうのは、その場しのぎではありません。
ぶっつけ本番でもありません。
即興と言う行為自体は、その場で最良を選び、最幸をめざし、その場で考え行動します。
しかしそれは、これまでに自分の中に蓄えてきた知識や技術や経験をいう大きな礎をもとにして、目一杯自らを注ぎ込み表現しているという事なのです。
木の枝振りによっては急遽生ける形を変える事もあります。花の咲き具合にあわせてアドリブも行います。
生け込みの時間は二時間とか三時間とか限られています。
その限られた時間の中で、自分の持てる限りの力を発揮して作品を作り上げる。
集中してテンションも上がってきて、アドレナリン全開!脳内麻薬全開!!からのテンション最高潮!!!
もう自分自身が一番楽しめる時間になります。
こんなに楽しい事はありません。
さあ、今から会場に向かって出発します。
楽しい時間に向かって Let’s Go~~!!!
内藤正風PROFILE
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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。
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