いけばなの「下生け」は、お料理の「下ごしらえ」と同じで、この如何によって作品の出来不出来が決まると言っても過言ではありません
ごきげんよう、こんにちは、こんばんは、内藤正風です。
今日は午後から「こうべ芸文美術展」の生け込みを行なってきました。
ちなみにこの生け込みに不可欠なのが、事前に行う「下生け」という作業になります。いけばなをしている人にとっては日常的に耳にする言葉ですが、いけばなをなさったことのない方には耳慣れない言葉ですので、今日はそんな「下生け」という事についてブログを書きたいと思います。
「下生け」っていうのは、お料理でいう「下ごしらえ」と同じです
いけばな展において、作品を現場で作り上げる作業の事を「生け込み」というのですが、この生け込みの時間はそんなに長い時間があるわけではありません。
いけばな展やその会などにもよりますが、一般的には2~3時間程度しかなく、その機会によっては1時間もない場合もあります。
1時間や2時間なんて集中していたら ”あっ” という間に過ぎてしまう時間です。
なので何も準備をせずに生け込みに臨んだりなんかしたら、時間が足りないわ、作品の完成度は低くなっちゃうわで、えらい事になってしまいます。
なので生け込みに向かうまでに行なっておく準備、すなわち「下生け」がとても大切になるのです。
ちなみに「下生け」って言われてもよくわからないですよね。一番わかりやすいのはお料理をするときの「下ごしらえ」と同じだと思っていただければいいです。
料理の出来不出来は「下ごしらえ」にかかっていると言っても過言ではありません
お料理を作るときには、そのメニューにあわせて事前に「下ごしらえ」をしますよね。食材を切っておいたり、あく抜きをしたり、下味をつけてなじませておいたり。
鍋で煮炊きしたりフライパンを振るような段階は、最後の仕上げであって、「下ごしらえ」の如何でお料理の出来不出来の大半って決まっていると言えるのではないでしょうか。
なので「下ごしらえ」を手抜きすると、エライことになっちゃいます。
いけばなの展覧会の作品の「下生け」も同じです。
作品のイメージにあわせて必要な枝と不要な枝を仕分けしたり、骨格となる形を作っておいたり、器に安定して留める事が出来るようにその土台をつくっておいたりという作業を事前に行ないます。
こういう部分の準備をしっかりとしておかないと、生け込み本番の限られた時間でよい作品を仕上げる事が出来なくなってしまうのです。
事前の準備で勝負は決まっている
段取り八分という言葉があるように、良い仕事をするためには仕事の八分(8割)は事前の準備によって大きく左右されます。しかしこれはどんな仕事にも当てはまる事だと思います。
1つの仕事には事前の準備がとても重要であり、この良し悪しが仕事の効率や出来に大きく影響してきます。だからこそ、事前の準備を疎かにしてはいけないと思います。
いけばな作品の生け込みも同じです。生け込みの時間内に最高のパフォーマンスを発揮できるようにするためには、生け込みの始まる前にすでに勝負は始まっているのです。
準備が用意万端であればあるほど、何か思わぬ問題が起こっても焦ったりパニクったりせずに済みます。ってか、そういう突発の事までも楽しむ事が出来るようになります。
楽しむということには、心のゆとりもあるので自分の楽しさだけではなく作品の出来もよくなってきます。周りの人への気遣いも出来るようになってきます。
折角の作品作りなのですから楽しまなくちゃ勿体ないですよね。
内藤正風PROFILE

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平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。