ご飯を食べに行って感じた人々の空間に対する感覚の移り変わりと、これはいけばな教室も他人ごとではないという事

こんにちは、内藤正風です。

昨夜、晩御飯を食べにお出掛けし、今日のお昼はランチミーテングに出掛けてきました。ちなみに昨夜は1日1組しか受けないお店でしたし、今日のランチミーティングは個室でした。
そういう時間を過ごしながら、改めて思ったことがあります。それは「いけばな教室のありようもこのコロナ禍で大きく変わってしまうな」という事です。

空間の贅沢が身についてしまった人々

今回のコロナ禍では有形無形を問わず、そしてありとあらゆる場面において色々な影響が出ています。
そんな中のひとつに「空間の贅沢」が挙げられます。

たとえばご飯を食べに外食に出掛けたら、隣の席との間には1席分空間が開けられていたり、テーブルの配置がこれまでと違ってゆったりと配列されていたりしています。
電車に乗ったら、今までなら6人で一杯だった席に5人座って、人と人の間に10センチほどの空間をあけて座るのが普通になっています。
映画館ではひとつ飛ばしや、グループごとに1つ席をあけて座るようになっています。
今やこれが普通です。

この感覚が普通になじんでしまっているんですよね。これって私だけではなく多くの方がそうだと思うのです。
そうなったら、仮にコロナが無くなったとしても食事に行って腕と腕が触れ合うような状況になるとストレスを感じるだろうなと思います。
電車で隣に見ず知らずのオッサンが座ったらストレスを感じるだろうなと思います。

これすなわち、空間に対する感覚が贅沢になってしまっているってことですよね。

贅沢は元には戻りにくい

食事や着るものなどをはじめとして生活のレベルは、一度贅沢になじんでしまったら中々元には戻せないですよね。
これって日常生活だけの事ではなく、すべての面において言えることだと思います。
そうなんです。空間認識についても同じことが言えると思います。

今の私たちは空間に対する贅沢が身についてしまったのです。
たとえば食事に行くときに、料金は安いけれど隣の人や後ろの席の人と腕や背中が触れ合うような環境のお店と、少し割高だけれど席と席にゆとりがあったり個室や半個室になっているお店とどちらに行きたいと思いますか。
私はゆったりしたお店に行きたいです。
これから春になり夏になって汗ばむようになってきたら、見ず知らずの人の汗ばんだ腕と自分の腕が触れ合うような環境で食事だなんて、絶対に嫌ですもん。(笑)

確実に私の空間に対する感覚も贅沢になじんでしまっています。

いけばな教室の空間に対する感覚も贅沢にシフトしています

コロナ以降、いけばな教室の空間に対する感覚も大きく変わっています。

お稽古に来られている方の感染防止のために前後左右の空間を広くとるようになり、それが普通となっている今、仮にコロナの心配がなくなったとしても以前の状態に戻すことは、お稽古に来られている皆さんのストレスにしかならないと思います。
「狭っ!!」「窮屈!!!」「近っ!!!!!」って感じたら、それはストレスに直結しているのですから。

すなわち、いけばな教室も世の中の動きや、人々の感覚とは無関係では済まないという事です。

進んで自分を変革させた方が後々楽になる

何かを変えようと思っても、どうしたらいいのか分からなかったり、何をしたらいいのか分からなかったりすることはよくあります。
そんな時はまず自分が体験してみる事にヒントやアイデアのきっかけがあると私は思っています。
たとえば色々な飲食店に行って、空間的な対策や感染防止対策などを自分自身で体験してみる。
あるいはコロナ以前とコロナ以降でどのように変わったかを一覧にまとめて検証してみる。
そんなところでしょうか。

何かを変えるって言うと大きな事をしないといけないように思いがちかもしれませんが、実は変革って小さなことの積み重ねなんですよね。
日々小さなことを少しずつ改良や改善してゆく。
これが秘訣だと私は思っています。

自分で進んで少しずつ取り組んだ方が後々絶対に楽になると思いますよ。

内藤正風PROFILE

内藤 正風
内藤 正風
平成5年(1993年)、光風流二世家元を継承。
お花を生けるという事は、幸せを生み出すという事。あなたの生活に幸せな物語を生み出すお手伝いをする、これが「いけばな」です。
光風流の伝承を大切にしながら日々移り変わる環境や価値観に合わせ、生活の中のチョットした空間に手軽に飾る事が出来る「小品花」や、「いけばな」を誰でもが気軽に楽しむ事が出来る機会として、最近ではFacebookにおいて「トイレのお花仲間」というアルバムを立ち上げ、情報発信をしています。ここには未経験の皆さんを中心に多くの方が参加され、それぞれ思い思いに一輪一枝を挿し気軽にお花を楽しまれて大きな盛り上がりをみせており、多くの方から注目を浴びています。
いけばな指導や展覧会の開催だけにとどまらず、結婚式やパーティー会場のお花、コンサートなどの舞台装飾、他分野とのコラボレーション、外国の方へのいけばなの普及、講演など、多方面にわたり活動し多くの人に喜ばれています。